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開発途上国における生産年齢女性の死亡・致命傷の最大原因は出産に伴う合併症である。毎年50万人以上の女性が妊娠・出産により死亡し、その大半はアジア・アフリカ地域においてである。ミレニアム開発目標の一部として妊産婦死亡率を2015年までに1990年のレベルの4分の3にまで引き下げると189 カ国の政府が合意したが、女性を救う努力の進展はあまり見られない。

「1分ごとに女性が1人必要なヘルス・ケアを受けられない理由で死んでいっている。」と和気邦夫 国連人口基金事務局次長は、本日クアラ・ルンプールで行われた第3回妊産婦死傷防止会議(The Third Global Conference on Averting Maternal Death and Disability)の開幕式で述べた。「悲惨なことは、こうした死亡のほとんどが防止可能であったということです。」

妊娠に伴う大半の合併症は事前に予知できるものではないが、出産時に質の高い緊急産科ケアにアクセス出来れば治療は可能である。3日に渡る会議では50カ国から300人以上が参加し、妊産婦死亡率の減少と緊急産科ケアへのアクセスの向上のための試みについて議論された。

「開発計画・政策・事業・予算の中で、女性の健康が最優先課題として扱われるように、我々は働きかけねばならない」と和気氏は強調した。ニューヨークに拠点を置き、コロンビア大学メールマン公衆衛生学大学院を中心に組織されたこの会議は、同大学が1999年に開始した妊産婦死傷防止(Averting Maternal Death and Disability(AMDD))計画の一環として位置付けられている。パートナーには国連人口基金(UNFPA)、国連児童基金(UNICEF)、 CAREやセーブ・ザ・チルドレンがある。

和気氏は、国連人口基金が緊急産科ケアサービスのアベイラビリティー、質や利用を向上させるためにAMDDを通じて過去4年間16カ国で行なってきた活動の実績について報告した。インド、モロッコ、モザンビーク、ニカラグアでは、基礎的・包括的な緊急産科ケア施設が修復され、24時間体制で機能できるよう、設備とも人材とも整えられた。西アフリカ8カ国では、各国の緊急産科ケア供給能力を測定するためのニーズアセスメントが行なわれ、中南米・カリブ4カ国でも調査が進められている。