女性や少女に対する暴力は避けられないものではありません。暴力は撤廃されなければならないのです。
ジェンダーに基づく暴力は、世界中の何億人もの女性と少女に一生涯に渡る脅威を与えています。こうした暴力は、深い悲しみだけでなく、経済的にも社会的にも重大な悪影響を与えているのです。女性と少女に対する暴力が脅かしているものは、貧困削減や保健医療の向上に対する取り組みのみならず、平和構築や安全保障への取り組みでもあるのです。
今日、私たちは、世界のあらゆる地域で女性と少女に対する暴力を目の当たりにしています。これは、根深く残る性別による差別意識によるものであります。こうした差別意識は、開発においても、平和構築においても、そして人権保障においても最優先課題として取り組まれなければなりません。
国連人口基金では暴力撤廃に向けて以下の四本の柱からなるアプローチを提唱します。
- 国際的合意に合った法律と政策の強化
- 加害者必罰の原則
- 被害者のニーズの認識とそれに応じた対応
- 社会的取り組みと文化変容の推進
女性と少女に対する暴力を撤廃するには、法律と政策が適用され実施されなければなりません。撤廃に向けた予算が配分されなければなりません。そして、悪しき慣習と偏見は改めなければなりません。子どもには母親の膝の上にいるような時から、女性や少女に対する暴力は悪いことだと教えなければなりません。男であれ女であれ、人類はみな平等であり、生まれながらの尊厳があることを学校は教えなければなりません。
私たちは、社会のあらゆるところでパートナーシップを推し進めていくことで、こうした暴力に立ち向かい、被害者に思いやりを持ってサポートや保護を提供し、そして社会復帰を支援する必要があります。被害者に法的なアドバイス、心のケア、そして医療サービスを包括的に提供することが当面の課題です。被害者に対するカウンセリング技術や、レイプの治療、HIV/エイズを含む性感染症に対する訓練を医療従事者に対して提供することも必要です。つまり、性的暴力の被害者に対しては、品質の高いリプロダクティブヘルスサービスを一刻も早く提供しなくてはならないのです。
今もこれからも手を取り合い団結していこうではありませんか。暴力に苦しむ女性たちが恐怖と恥辱から解放さる日まで。彼女達が尊厳を持って生活できるその日まで。
そして、女性と少女に対する暴力には徹底した不寛容の文化を広めていこうではありませんか。家庭・学校・礼拝所においても、また地域社会・国家においても。こうした恥ずべき人権侵害を根絶するために私たちは一致協力しなければなりません。
いかなる状況においても、国家や権力者が宗教・伝統・慣習を引き合いに出し、女性と少女に対する暴力を正当化することは出来ないという、より大きな合意を私たちはともに作り出していかなければなりません。