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モーリタニアでのレイプ、メキシコやルーマニアの家庭内暴力、バングラディッシュの若年結婚、ケニアの女性性器切除。これらの女性に対する暴力は、最新の国連人口基金(UNFPA)の冊子の中で調査されている、女性や女子に対する数々の虐待のほんのごく一部にすぎない。

単に女性に対する暴力の程度を記録しているだけの他の出版物と異なり、本日国連人口基金によってニューヨークで発行された「Programming to Address Violence Against Women(女性に対する暴力への取り組み計画)」は、10の事例研究を提示し、慎重に対象を絞り計画を練るという方法を用いれば、ジェンダーに基づく暴力を減らすことが出来るということを示している。

国連人口基金事務局長トラヤ・A・オベイドは次のように述べた。「この冊子が他の出版物と違うのは、数は少なくとも対象を絞って対策を実施すれば、地域社会全体の女性に対する暴力への態度を変えることができるということを実証している点です。」

「多くの場合、女性に対する暴力はあまりにも一般化し定着しているので、考え方・態度を変えることは初めは不可能に思えました。しかし、地域社会の指導者や一般市民を対象とした政策提言や啓発活動を粘り強く続ければ、比較的短期間でも大きな変化をもたらすことが出来るとが判りました。」

事務局長はさらに以下のように続けた。「ジェンダーに基づいた暴力は、例えどんなに"伝統的"だとされているものでも、いかなる社会においても当然のこととして存在するものではありません。私たちはこれらの事例の中で、それをはっきりと実証することが出来ました。」

10の事例研究からの教訓は、付属の小冊子「Ending Violence Against Women: Programming for Prevention, Protection and Care (女性に対する暴力の根絶:予防・保護・ケアのためのプログラム)」に集約してある。新しく創設されたオンライン・マルチメディアギャラリーでは、上記の冊子と付属の小冊子、そしてそれぞれの国のビデオが統合され、関連する国連人口基金の資料とリンクされている。

国連人口基金とパートナー団体は、宗教指導者や医者、政治家など国や地域社会の指導者に働きかけるとともに、被害者に対し法的な救済策をとり、また被害者が若い場合には復学出来るよう支援を行っている。さらに、暴力による被害者は不当な差別を受けることも多く、被害に遭った女性と女児が経済的に自立出来るようスキルを身につける訓練も援助している。また、暴力を受けた女性や女児に対する偏見をなくし、ジェンダーに基づいた暴力がいかに蔓延しているか、またその原因と結果についての意識を向上させるための政策提言活動を支援している。

事務局長は次のように述べた。「地域社会は変わることが可能ですし、変わっていくでしょう。しかし、ジェンダーに基づいた暴力が引き起こす悲惨な結果は、世界的な、そして局所的な対策を必要とする人類の非常事態であり、しかるべき緊急な対策が求められています。」