現在地

概要:
米英両国のボランティアの医師団が今月、ナイジェリアの外科医チームと協力し、フィスチュラ(産科瘻孔)に苦しむ女性の治療と医師に対する手術訓練を行うことになった。ナイジェリアは、アフリカで最もフィスチュラ発生率の高い国の一つとされており、この「Fistula Fortnight」キャンペーン期間中に医師団が治療に当たる女性の数は前例のないものなるといわれている。調査によると、ナイジェリアでは約40万人から80万人の女性がフィスチュラを患っており、毎年約2万人が新たに罹患しているという。また、ナイジェリア北部に患者数が多く、深刻な問題となっている。

国連人口基金が進めているフィスチュラ撲滅キャンペーンの詳細についてwww.endfistula.org

趣旨:
フィスチュラは予防も治療も可能な疾患でありながら、開発途上国に暮らす非常に多くの女性が治療を受けられないままである。治療は存在するという認識を広め、社会的に疎外されている女性に資することがこのキャンペーンの目的である。

参加団体:
国連人口基金(UNFPA)、ナイジェリア政府、ナイジェリア赤十字、Virgin Unite、VSO(Voluntary Service Overseas)、健康問題に関する専門家ら、現地NGOなど

期間:
2005年2月21日から3月6日

開催地:
ナイジェリア北部の4つの病院で開催

開会式:
日時:2月21日10時~
会場:ババル・ルガ病院(カツィナ)
バージン・グループ代表リチャード・ブランソン氏による講演

Fast Facts

・フィスチュラ(産科瘻孔)は、時として数日に及ぶような難産で帝王切開などの適切な医療ケアが得られない場合に起こる傷害である。ほとんどの場合、胎児は死亡し、膣内にできた瘻孔(フィスチュラ)のため、母体は慢性的な失禁症を抱えるようになる。こうした失禁症により、女性は夫やコミュニティーから見放されるなど社会的に疎外されるケースが多い。

・世界では少なくとも約200万人の女性がフィスチュラを患っているとされており、WHO(世界保健機関)によると、毎年約5万人から10万人が新たに罹患しているという。こうした患者数は治療を求めてきた女性の数を基に算出しているため、実際の患者数はさらに多いだろうと推測されている。

・ナイジェリアでは、18人に1人の女性が出産による合併症で死亡している。これはヨーロッパの数値と比較した場合、2400倍高い値である。

・かつては世界中で見られたフィスチュラだが、ヨーロッパと北米地域においては産科ケアの改善により100年以上前からほぼ撲滅されている。

・「Fistula Fortnight」はフィスチュラ撲滅に向けた世界的なキャンペーンの一環で、2003年から国連人口基金が開始している事業である。国連人口基金では、このキャンペーンをサハラ以南のアフリカ、南アジア地域、アラブ諸国など、30カ国以上で展開しており、数多くの団体とパートナーシップを結んでいる。