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世界の指導者や女性団体が、第4回北京世界女性会議からの10年を振り返るためにニューヨークに集まったことは、多くの政府が女性の権利を守るために法律や政策を各国に適用させ、実質的な進歩を遂げてきたことの証明です。この10年、ジェンダーの平等をめぐる法的、政策的枠組みは強化されてきましたが、これからの課題は、それらの法律を施行し、既に存在している政策を女性や少女たちにより利益をもたらすものに変更していくことです。

今年の国際女性の日のテーマは、「ジェンダーの平等2005年を越えて~更なる安全な未来の構築~」であり、これは、平和、発展、平等を実現するためには、女性の権利を守り、意思決定の場において彼女たちの完全な参加を奨励することが必要であることを認識するものです。今日、たった15の国々しか議会における女性議員の占める割合が30%という目標に達していません。紛争地帯では、ジェンダーに根ざした暴力が多発し、女性や少女たちの売買春も増加しています。妊産婦の死亡率は未だに高く、女性や少女のHIV感染が増加し、変化をもたらすためには、人々の意識を高め、集団での行動が必要とされる、危険な伝統的慣習は今もなお、存続しているのです。

伝統や慣習が法律よりも優先されるケースが多いため、女性の地位を向上し、共同体への参加を促すためには、男性をも巻き込んだ上で、文化的配慮を伴ったアプローチを行うことが重要なのです。今日、私はすべての指導者の方々に、女性や少女を差別している慣習が個人や家族、社会の幸福に寄与するものであるかどうかを問い、議論することを望みたいと思います。教育や医療サービスへのアクセスを提供すること、就職機会、法的権利は女性だけでなく社会に暮らす、全ての人々にとって利益となることを示す多くのデータが存在しています。それは、すべての人々に対して、社会・経済的な発展に貢献することが期待できる人類の半数(労働可能年齢に達している※訳者挿入)の人々の可能性をも導くものです。

カイロでの国際人口開発会議や北京で行われた第4回国際女性会議で採択されたように、最も重要な事柄はリプロダクティブヘルスライツです。リプロダクティブヘルスライツは全ての人がこれを有しているもので、これは、子どもを持つかもたないか、持つとしたらいつなのか、どれくらいの間隔で持つのか、を自由に責任もって決めることができ、そのための情報や手段を得る権利であり、差別、強制、暴力を受けることなく生殖に関する決定を行える権利も含まれます。また、リプロダクティブヘルスライツは、女性の地位向上やジェンダーの平等、国際的な開発目標を達成するための重要な鍵ともなります。リプロダクティブヘルスサービスは望まない妊娠や中絶、HIV感染、妊産婦、乳幼児死亡を防ぎ、彼らの命を救うものなのです。

今日、この国際女性の日において、私は、貧困を撲滅し、ミレニアム開発目標を達成するために、政府や国際社会に対して北京行動綱領で約束したことを再承認し、強化することを求めます。もう一度、女性や少女たちがどこで生まれて、どこに住んでいようと、平等な機会が与えられ、普遍的な人権が保護されるべき、かけがえのない価値のある人間であることを認識しましょう。今こそ、私たちが国際平和と開発のためのアジェンダの最重要項目に、ジェンダーの平等を掲げる時なのです。