4月4日、衆議院第一議員会館にて国際人口問題議員懇談会(JPFP)勉強会が開催されました。
JPFP事務総長を務める黄川田仁志衆議院議員の進行のもと、JPFP会長の上川陽子衆議院議員によるご挨拶から始まり、日本大学人口研究所次長であり経済学部の松倉力也教授が「人口80億人の世界:新視点からみた少子高齢化政策」について発表しました。
講演では、国民移転勘定(National Transfer Accounts, NTA)と呼ばれる世代間所得移転を解析する手法により、高齢化や人口減少が社会経済に及ぼす影響を分析することが可能であるとともに、人口政策といった各種政策の立案、評価に貢献しうることが説明されました。
松倉教授の講演を受け、UNFPA駐日事務所 所長補佐の上野ふようは、人口動態に関する課題は人口の数のみに注目することが解決策とは限らず、一人ひとりの生活の質を重視することが必要であると述べ、高齢化社会における対策としてUNFPAが提唱する「ライフ・サイクル・アプローチ」を紹介しました。さらに、女性と少女のすべての出産が意図され、からだの自己決定権を持つことの重要性を訴えました。また今年4月19日に「世界人口白書」2023年版が発表されること、日本語版が世界人口デーである7月11日に発表予定であることを報告しました。
ジョイセフの石井澄江理事長は、国際家族計画連盟(IPPF)との共同事業として日本の高齢化対策の取り組みをアジア諸国と共有し提言策定に至った点や、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス / ライツの確立が少子化対策の基本であり目的であることが「IPPF戦略2028」に明記されていることを発表しました。
質疑応答では、人口政策における欧州と日本の取り組みの違いや、国家間の連携の可能性などについて活発な議論が交わされ、最後に上川陽子JPFP会長より、「人口80億人の世界」をテーマにした勉強会を定期的に開催し、議論を継続していきたい旨の発言がありました。