2021年5月12日、「国際人口問題議員懇談会(JPFP)勉強会『新型コロナウイルス感染症の少子化に対する影響』」が開催されました。
今回は、JPFP主催、「SDGs(持続可能な開発目標)—人間の安全保障・人口アライアンス」※1共催で行われれた2回目の勉強会でしたが、緊急事態宣言下での開催ということで、オンライン/オフラインのハイブリッド形式で実施し、合わせて約50名が参加しました。
冒頭では、JPFP会長の上川陽子 法務大臣よりご挨拶いただきました。
上川大臣は「国内外において、コロナ禍でDVや望まない妊娠が急増したという報道が増えている。これは、途上国の問題のみならず、まさしく日本が取り組んでいかなければいけない課題でもある」と指摘。そのためには、正確な現状を把握することが重要だと強調しました。
今回の勉強会では、日本家族計画協会(JPFA)理事長の北村邦夫氏が、「新型コロナウイルス感染症が日本人の日常をどう変えたか~コロナ禍における日本人の“性”1万人調査から~」と題した発表をしました。
北村氏は、研究結果から「コロナ禍でも充実していた人々は、収入が減ることなく、孤立していなかった」一方で、「パートナー間の暴力は、失業・休業・収入減少が原因している可能性」があることを示唆。そしてこの研究結果をもとに、緊急避妊薬の周知と薬剤へのアクセスの改善、中高校における性教育講演の公費負担、小中学校や職域における相談窓口の開設、DV・性暴力予防啓発キャンペーンの推進が重要である、という提言をしました。
コメンテーターの国立社会保障・人口問題研究所 副所長の林玲子氏は、コロナ・パンデミック後の出生率について、過去に起きたスペイン・インフルエンザやアジア風邪などの例を挙げながら「一般的にパンデミック後はベビーブームが起こる傾向にあるが、今回はそうならない可能性がある」と指摘。社会経済的な不安を取り除き、「産みたい人が産めるような施策をしていくことが、以前にも増して重要になって来ている」と強調しました。
加えて、内閣府男女共同参画課から性犯罪・性暴力、DVの相談件数の増加について、厚生労働省から婦人相談所の相談件数の増加についての報告がありました。
その後、安藤高夫 衆議院議員から、今後の出生動向の見込みについて質問があり、北村氏から「カップル間においてもセックスレスの割合が半分ほどにも及び、出生増の期待は薄いと思われる」との回答がありました。
弊事務所の所長 佐藤からは、「SDGs—人間の安全保障・人口アライアンス」について「女性の命と健康を守り、人口問題に真正面から向き合うために、JPFPとのより良い連携を目指す応援団」として、本勉強会の開催に協力をさせていただく主旨を説明しました。
今後も引き続き、このアライアンスを通じて、SDGsや人口問題など、日本及び途上国が抱える課題についての啓発活動に取り組んでいきます。
※1)「SDGs—人間の安全保障・人口アライアンス」は、人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)、アジア人口・開発協会(APDA)、国際家族計画連盟(IPPF)、JOICFP(ジョイセフ)、国連人口基金(UNFPA)が連携して国内外の活動を強化するために設立された。