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国連は、2050年の世界人口推計を公表した。これを受け、国連人口基金(UNFPA)事務局長トラヤ・A・オベイドは、カップルが子どもの数を自由に決められる権利を行使するための手段が必要であると訴えた。

3月11日に、国連人口部が発表した「世界の将来人口推計」2008年度改訂版(World Population Prospects: The 2008 Revision)によると、2050年までに世界人口は現在の68億人から23億人増加し、91億人にのぼるとされている。この報告書では、開発途上国における出生率が継続的に低下すると想定されている。もし出生率の低下がみられない場合は、79億人になると推計されている開発途上国の人口も98億人に増加し、世界人口は2050年の推計人口91億人を大幅に上回る、110億人にまで増えるという。

「この報告は、安全で効果的な避妊薬(具)を必要とする女性2億人への支援がなおざりにされた結果起こる長期的な影響について、世界の指導者に警鐘を鳴らすものです。しかし資金援助が増加しない限り、この2億人分の避妊薬(具)を調達することはできません。家族計画の普及は、人類に安定した未来をもたらすだけでなく、妊産婦死亡と望まない妊娠を減らすことにつながります。リプロダクティブ・ヘルスに関する一連の基礎的サービスの提供を拡大し、家族計画の普及や妊産婦の健康の改善、そしてHIV感染予防などにつとめるべきです」と事務局長は述べた。

1997年には、人口と開発分野への資金援助のうち40%が家族計画の普及に充てられていたにもかかわらず、2007年には同比率はわずか5%となり3億3,800万米ドルにまで落ち込んだ。しかし、国際社会の合意により定められた家族計画の普及支援額は年間4億2,000万米ドルである。

現在、開発途上国の人口のうちおよそ半数が25歳以下である。後発開発途上国にいたっては、その数は全体の60%にのぼる。こうした傾向は、現在の経済危機とともに、各国の教育や雇用に関する深刻な問題に発展すると「世界の将来人口推計」は警告する。同問題について事務局長は「各国は、有能な若い人々が社会で活躍できる場を提供しつつ、教育や雇用対策を進めるべきです」と述べた。

一方で、「世界の将来人口推計」は、現在先進国に2億6,400万人いる60歳以上の人口が、2050年には4億1,600万人になり、開発途上国では4億7,500万人から16億人にまで増加するということにも言及している。「この事実は、開発途上国が、高齢者に対する社会的経済的な保護制度の確立などの、高齢化への事前対応策を急速に進める必要性を示唆しています」と事務局長は述べた。

「世界の高齢化が進むのと並行し、若い世代の人口が人類史上最大規模にまで増加しています。今後わたしたちに課された課題は、開発途上国を中心に、高齢者のニーズと若者のニーズそれぞれを同時に満たすことです」と事務局長は最後に語った。

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