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1908年3月8日。100年前のこの日、ニューヨークでは、女性たちが参政権や労働条件の改善を求めてデモを起こしました。スローガンは「パン」と「バラ」。パンは経済面での、バラは生活面での向上のシンボルでした。その後国連は、国際女性年と定めた1975年に3月8日を「国際女性の日」と制定し、女性たちの社会参画、男女の平等に向けて国連加盟国が祝う記念日としました。

ところで、今年の「国際女性の日」のテーマは“Investing in Women and Girls (女性と女児に投資するということ)”です。では、なぜ女性と女児に投資するのでしょうか。先進国に増して開発途上国では、母親が家庭の要(かなめ)となっています。したがって、資金面のみならず、知性・教育、情報といった面でも女性に投資することは、家族にもその投資の効果が還元されることになります。たとえば、子どもが脱水症状を引き起こした際に、水に食塩か砂糖を少量入れて経口補水液とすることで、水分が体内にとどまります。このような知識を母親が持っていることで、子どもの命を救うことができるようになります。

2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏は、グラミン銀行(バングラデシュ)の創設者で、マイクロ・クレジットを実施しています。マイクロ・クレジットとは小額の資金を低金利で貸し出す事業のことで、借り手のほとんどは女性です。5人一組となって無担保で借りた資金を使って、たとえばニワトリを飼うことができます。そのニワトリが産んだ卵を市場で売ることにより現金収入を得ることができ、その結果、女性は家族の食糧や子どもの文具を購入することができるようになります。女性はほぼ100%の割合で返済義務を果たすので、マイクロ・クレジットは単なる支援にとどまらず、ビジネスとしても成立しています。

現在、妊娠や出産にともなう合併症で1分間に1人の女性が命を落としています。ひんぱんな妊娠・出産を避ける方法や家族計画は、妊産婦の死亡を減らす方法でもあります。しかし、その十分なサービスを享受できない女性が世界に2億人います。国連人口基金の事務局長であるトラヤ・A・オベイドは「女性や女児は政府にとって最善の投資の対象の一つである」と言っています。今年の「国際女性の日」を機に、国の保健システム、助産師の訓練、そして家族計画の普及を含め、資金、教育、情報等あらゆる面での女性と女児への支援の必要性について、あらためて考えてみませんか。
 

関連情報

3月10日 国際女性の日2008公開フォーラム [東京]