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国連人口基金(UNFPA)は今日、アメリカ議会が2004年会計年度に3400万ドルを国連人口基金に拠出する決定を下したことを歓迎し、政府がその支払いを保留することのないよう要請した。

アメリカの上・下院の議員は、国連人口基金への拠出金を、3730億ドルの包括的歳出法案の一部、2004年度海外事業歳出予算案として承認した。「この貴重な財源は、自発的な家族計画やリプロダクティブ・ヘルス・ケアの供給を通して、世界中の女性の命を救うことだろう」と国連人口基金事務局長のトラヤ・オベイド(Thoraya Obaid)は述べて、アメリカ連邦議会に対する感謝の意を示した。国連人口基金の予測によると、3400万ドルが家族計画プログラムに使用されることで、世界で年間あたり80万件の人工妊娠中絶、4700万件の妊産婦死亡、そして7万7000件の乳幼児・幼児死亡が予防可能になる。

過去2年間、国連人口基金が中国での妊娠中絶などの施策を間接的に支援しているとの主張の下に、アメリカ政府は国連人口基金への拠出金の支払いを引き上げていた。国連人口基金やその他の独立の監視団体はこのような批判を否定している。国連人口基金は中国や他のいかなる地域においても、妊娠中絶を支持せず、強権的な活動にも参加していない。中国における国連人口基金の活動は、情報提供やカウンセリングとともに、妊娠に関する様々な選択肢を与える自発的アプローチの有効性を示すことを企図している。また、国連人口基金は中国政府に対して、許可された人数以上の子どもを持つ夫婦に課される「社会補償料」などの強制的施策を廃止するよう強く要請している。

アメリカ政府の代表団を含む多くの調査団が中国の家族計画プログラムを視察したが、国連人口基金が中国の強制的施策を支援していることを示すいかなる証拠も見つからなかった。先月には、アメリカの宗教指導者や倫理学者で構成される調査団が2003年9月に行った国連人口基金の活動調査の結果をまとめた報告書が出された。報告書によれば、「国連人口基金は中国の家族計画プログラムを支持せず、その運営にも関わっていない」し、他方、国連人口基金の支援活動の結果、「妊娠に関する選択肢が増えたことにより、人工妊娠中絶や不妊率が減っている」ことが判明した。複数の宗教信仰者から成るこの代表団は、「国連人口基金は繰り返し、中国政府の一人っ子政策に反対している」こと、また、国連人口基金が、「社会補償料」を定める中国法は家族規模の選択の自由に反するとの懸念を公に表した初の国際機関であったことを報告している。「中国を訪問した宗教指導者や倫理学者が、国連人口基金が中国の家族計画プログラムにおける自発的選択を支援し、いかなる強制行為にも関与していないことを確認してくれたことをきわめて嬉しく思う」とオベイド。「これらの見解は、アメリカ政府の派遣チームややイギリスの代表団の報告とも一致する。国連人口基金が善に対する前向きな力であることを、皆が認めている。」

彼女は最後に付け加えた。「私はアメリカ政府に対し、連邦議会で議決された拠出金支払いを遂行し、他の先進国とともに、世界の最貧国における自発的な家族計画、安全な母性やHIV/AIDS予防に尽力するUNFPAを支援するよう、訴えてゆく。」