トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、アフリカ委員会がこの日発表した、新しい報告書の内容について、歓迎の意を表した。「国連人口基金は、報告書の調査結果を支持し、委員会が今後その提言をもとにアフリカの男性、女性、子供たちひとりひとりの福利をさらに充実させられるよう関係者、特にアフリカ各国政府との協力関係を強化していきます。」
「国連人口基金は特に女性、そして男性のリプロダクティブ・ヘルスの権利を守るにはアフリカの強いリーダーシップが必要だという委員会の要請を歓迎します。それによりHIVへの感染を予防し、妊産婦と乳幼児の死亡率を下げ、何百万人もの命を救うことができるでしょう。」
「この際立ったイニシアチブが特に希望を与えてくれる点は、政府に対してリプロダクティブ・ヘルスに関連する性差に基づく差別をなくすべきだということを要求し、彼らに市民社会、特に宗教的・伝統的指導者たちと協力して目標を達成するよう喚起していることです。」
アフリカの妊産婦死亡率は世界で一番高く、ヨーロッパの1500人に対し、毎年25万人以上の女性が妊娠や出産に伴う合併症で亡くなっている。「今後10 年でアフリカの妊産婦数は過去最高に達するでしょう」とオベイド事務局長は述べる。「家族計画、妊産婦検診、助産士、緊急産科ケアへのアクセスの拡大が無ければ今後も死亡者数は増え続け、ミレニアム開発目標の達成は困難になるでしょう。」
「医療スタッフ、システム、サービスに充てる資金を増やすべきだという委員会の提言は、アフリカの、主にリプロダクティブ・ヘルスの分野での発展に対して人的・経済的支援を増やしていこうとする国連人口基金の戦略と一致しており、また差し迫った必要にあるものです」とオベイド事務局長は述べた。
1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)で、世界の指導者たちは毎年185億ドルを発展途上国のリプロダクティブ・ヘルスと人口問題に対応したサービスに投入することで合意し、そのうち3分の1はドナー国により賄われるはずだった。しかし、この合意内容は達成されず、公衆衛生の改善や、 HIV/エイズ対策に深刻な結果をもたらした。今回の報告書は事態の緊急性に注目し、リプロダクティブ・ヘルス・サービスに必要な物資の不足を補うには年間3億ドルの追加予算が必要だという国連人口基金の概算に言及している。事態の深刻さは、アフリカ男性1人に対し年間4個のコンドームしかないという現状にも表れている。
オベイド事務局長は、アフリカ諸国政府に対しその保健システムにおいてリプロダクティブ・ヘルスを強化するよう呼びかける委員会の提言に言及し、「国連人口基金はこの提言を歓迎します。そしてまた、リプロダクティブ・ヘルスをアフリカ諸国の開発枠組みに取り込むよう、アフリカ連合とNEPADとの連携を強めていきます。」と述べた。