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国連人口基金がアフリカ、サハラ砂漠以南地域での 「フィステューラ(fistula)撲滅キャンペーン」(2年間)を開始

国連人口基金がアフリカ、サハラ砂漠以南地域での 「フィステューラ(fistula)撲滅キャンペーン」(2年間)を開始

Press Release

国連人口基金がアフリカ、サハラ砂漠以南地域での 「フィステューラ(fistula)撲滅キャンペーン」(2年間)を開始

calendar_today 01 11月 2003

国連人口基金(UNFPA)は本日、アフリカ、サハラ砂漠以南地域12ヵ国において、2年間に渡る「フィステューラ(fistula)撲滅キャンペーン」を開始すると発表した。「ろうこう」(fistula)とは、産科系疾病の中で最も悲惨な病気とされており、毎年5万~10万人のアフリカ人女性が苦しんでいる。今週、アジス・アベベで開かれた本議題の会議に60人のリプロダクティブ・ヘルスの専門家達が、「フィステューラ(fistula)撲滅キャンペーン」開始発表のために集まった。

国連人口基金主催のキャンペーンの主な活動は、「ろうこう(尿ろう・糞ろう)」の予防と治療である。活動の目的は、「ろうこう」の要因と結果を現地社会に認識してもらい、予防と治療に必要な資源の揃った医療センターの設置と医療関係者の育成(手術・治療・アフターケアなど)である。対象となる国はベニン、チャド、エチオピア、ケニア、マラウィ、マリ、モザンビーク、ニジェール、ナイジェリア、タンザニア、ウガンダ、そしてザンビア(計12ヵ国)である。

「フィステューラ」の内、「尿ろう」は、尿が尿道以外のろうこうから漏れる状態であり、また「糞ろう」は、性器と直腸の交通から糞が漏れる状態になる骨盤内の腹膜くう内の損傷である。これは、貧しい低年齢層の出産経験者に多く見られる症状であり、時には5日間にも渡る難産により膣の組織が傷つき、「ろう」に異常をきたしてしまう。貧しい少女たちは、医療機関で治療を受けることができず、少女たちの産道の組織が破壊されたままの難産の結果が死産になるケースが多い。お腹の中の赤ん坊が、頭で産道に圧力をかけ、組織を傷つけ、女性器と膀胱または直腸の間に穴を開ける。手当てをされないまま、結果として漏尿や漏糞となり、社会から差別の対象となることが多い。

栄養失調、発育障害、限られた医療サービスへのアクセス、早期結婚・出産の慣習などが難産の原因となりやすい。現在、およそ200万人の女性が「フィステューラ」で苦しんでおり、多くの患者は主にアフリカ、アジアの貧困地域出身者である。「フィステューラ」は、欧米諸国においても存在したが、1900年代初めに現代医療の力により撲滅した。

「他国で成功したように、将来的にはこのキャンペーンが、アフリカにおける「フィステューラの撲滅」へ結びつくことを国連人口基金は願っています。女性は、人から尊敬され、胸を張って自分の可能性を伸ばせる限り伸ばし、精一杯生きる権利があります。安全で健康的な妊娠、および安全な出産をする権利もあります。このキャンペーンがその実現の手助けとなるのです。」と、国連人口基金事務局長のトラヤ・オベイド氏は語る。

「フィステューラ」は予防・治療が可能である。出産年齢の延期、貧困の緩和、栄養不良の緩和、医療機関へのアクセス、緊急時に対応できる産婦人科のケアを受けられることなどが、予防に結びつく。試算では、年間1億7千万人の若年齢層(15-19歳)が出産を経験し、難産のリスクを高くしている。

長年にわたり「フィステューラ」を患っている患者でも、回復手術により、88%~93%の成功率で完治することができ、手術後の妊娠・出産が可能になる。

「手術代はわずか$350です。しかし、残念なことに、現在、フィステューラで苦しんでいる多くの若い女性たちは、治療を受けられることを知らず、または知っていても治療費が払えないため治療を受けられないでいます。」とナレン・パテル(Dr. Naren Patel)国際産婦人科連盟・副会長は語る。

国連人口基金は、2年間のキャンペーン期間中に、対象国12ヵ国の「フィステューラ治療センター」へ資金および技術面で支援をする。アジス・アベバにおける3日間の会議上、専門家たちは対象各国の「フィステューラ」に関する報告書を読み、既存の治療センターで何が一番求められているかを分析した。その結果、どの国も早急に医者と看護婦の養成、治療に必要な物資の提供、現在ある施設とサービスの向上が重要であるとわかった。

「フィステューラ」で苦しんでいる女性のための医療サービスが早急に必要な今、このキャンペーンはそれに真っ向から応え、この取り組みは高く評価できます。アフリカでは「フィステューラ」の手術を行っている病院が非常に少なく、行っている病院でさえ充分なケアがされていないのが現状です。」とアジス・アベバろうこう病院の創立者兼ディレクターのキャサリン・ハムリン(Dr. Catherine Hamlin)氏は述べた。同病院は、過去28年間で2万人以上の女性を治療してきた実績のあるセンターである。

特に、ナイジェリアとチャドの2ヵ国がキャンペーンの追加支援を受けることとなった。この追加支援は、現在ある施設を、アジス・アベバにある「フィステューラ病院」のような、適切な治療が可能な施設にすることを目的としている。アジス・アベバにある病院は、年平均1,200件もの手術を行い、手術後も患者が社会復帰できるようにリハビリやカウンセリングを総合的に行っている。