トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は本日、EU(欧州連合)の開発協力担当の閣僚会議でリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)が貧困との戦いにおいて重要な要素であることが再確認されたことに歓迎の意を表した。「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals、MDGs)」の達成に関するこの会議では、1994年にカイロで開催された国際人口開発会議(International Conference on Population and Development、ICPD)の20ヵ年「行動計画」の重要性が再認識された。
10月26日・27日とマーストリヒト(オランダ)で開催されたこの閣僚会議では、貧困削減にはリプロダクティブ・ヘルス/ライツの推進が鍵であるとし、特にICPDで採択された「行動計画」の実施を促進する方策について議論が交わされた。
「このEU会議で確認されたことは、貧困や妊産婦・乳幼児死亡の削減、女性の地位向上、HIV/エイズの蔓延対策、そして持続可能な開発の確保にはリプロダクティブ・ヘルス/ライツが優先課題となることが非常に重要である、ということです」とオベイド事務局長は発言し、開発を実現させるための枠組みや協力体制をもたらしたミレニアム開発目標の達成にはカイロの行動計画の着実な実施が必要であるとあらためてうったえた。
このマーストリヒト会議の議長を務めたアグネス・ヴァン・アルデンヌ=ヴァン・デル・ホーヴェン(Agnes van Ardenne-van der Hoeven)オランダ開発協力大臣は、長期的な解決策によってリプロダクティブ・ヘルス資機材の国別需要を満たすことの必要性を指摘し、今年EU加盟国とEU委員会がこうした資機材調達のために国連人口基金に対し7500万ドルの拠出を決定した事例をとりあげた。
この会議では、EU議長国の呼びかけで現在のEU加盟国25カ国の間でひき続きカイロ合意を堅持していくことを確認し、行動計画の完全な実施と貧困削減およびミレニアム開発目標の達成に貢献するよう議論が進められた。また、貧困層は情報、家族計画サービスや安価で安全な避妊薬(具)を手に入れることが難しいため望まない妊娠が多いことに注目が寄せられた。
リプロダクティブ・ヘルス/ライツ以外にも、閣僚会議ではEUの対開発途上国政策の改善、とくにアフリカにおける平和、安全保障、開発の問題について議論がなされた。
今回あらためてEU諸国がカイロ合意や国連人口基金とその活動について支持を表明したのは、2日前にUNFPAと開発途上国79カ国が調印した合意に続くもので、この合意ではアフリカ、カリブ海および太平洋諸国が協力して開発と貧困削減の強化を進めることが謳われている。