女性に対する暴力は深刻な人権侵害であり女性の自由への侮辱であると国連人口基金は断言した。国連人口基金事務局長トラヤ・A・オベイドは、国連事務総長が本日付で発表した詳細に研究された報告書に賛同を表し、加害者を放置することは、更なる虐待や被害を招くだけでなく、それを容認し、当たり前のことであるという誤解をも招いてしまうと述べた。
「容認し、そして間接的に加担している現状に終止符を打つ時です」、「我々が女性に対する暴力を過去のものとしない限り、貧困も終わりにすることはできません。また、女性や少女に対する差別や暴力を止めない限り、HIVの蔓延を止めることはできません。女性や少女に対する暴力をなくすことができて初めて、平和で発展した安全な世界を作り出すことができるのです」と事務局長は述べた。
さらに、「今日、あまりに多くの女性が暴力の被害を受け屈辱的な思いをしています。しかし、本当に恥ずべきは、女性に対する暴力を女性の責任にする世界にあり、これほどまでに暴力を蔓延させたままにしておく世界のことです」と事務局長は続けた。
国連人口基金は、女性に対する暴力を防止し撲滅するための国家行動計画の策定に向けて、国連組織や他の全てのドナー団体にさらなる資金提供を求める事務総長報告書の提言に全面的に賛同する。
この提言は、2006年5月に欧州委員会、ベルギー政府、そして国連人口基金が支援し、紛争下の国々や国連協力団体から多くの人が参加した「紛争地域内外の性的暴力に関する国際シンポジウム」(ブリュッセル)で採択された、「行動への呼びかけ」に連動している。
国連事務総長によって進められたこの調査は、国連人口基金や他の諸機関の協力によって行われた。報告書では、女性の性や生殖能力に対するコントロール、出生前の性別選択、女性性器切除などを含む女性に対する暴力のさまざまなケースを取り上げている。また、女性のリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の侵害によって、妊産婦死亡が増加し、HIV感染のリスクが増える。また、特に武力紛争下では性暴力によって望まれない妊娠が増えることなどについて言及されている。
「女性や少女に対する暴力対策は、我々のセクシャル/リプロダクティブ・ヘルス推進プログラムの一環として国連人口基金は活動を行っています」と事務局長は述べた。
「世界中の何百万もの女性にとって、暴力や虐待から逃れ、傷を癒すために必要な援助やサービスを得られる唯一の機会は、保健施設に行くことかもしれません」
「これまでに達成されてきた進歩にもかかわらず、女性に対する暴力が未だ重要課題として見なされておらず、それに十分に取り組むために、あらゆるレベルにおいて必要なリソースを得られていないという国連事務総長報告書の結論に全く賛同します」と事務局長は述べた。
「国連人口基金は、女性や少女に対する暴力撲滅に向けて他の機関と協力しています」と事務局長は述べ、続けて以下のように断言した。「男性が協力者となり、少女や少年がお互いを尊重し、信頼し、平等の機会を享受できる文化の中で育てられるようになるまで、決して女性に対する暴力はなくならないでしょう」
国連人口基金は他の国連の協力団体とともに、ダルフール地方において、紛争グループによる女性や子どもに対する暴力が深刻化していることに対する警鐘を鳴らしている。今日発表された声明の中で、国連の協力団体は、紛争に関わっているグループに対して、国連安全保障理事会で採択された決議に応じるようにと要請したほか、スーダン政府にも厳しく透明性をもって調査を進め、特に女性や子どもへの暴力犯罪を起訴することを強く求めた。