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国連人口基金は8月中旬、カブール北部にデンマーク製の緊急可動式病院の開設を予定している。同病院は、72名分のベッドの他に、緊急分娩に対応する手術室を2室備えている。同院は、52名収容のカー・カーナ産科病院(Khair Khana Maternity Hospital)が復興されるまでの間、8ヵ月間運用される。

可動式病院は、アフガニスタン保健省からの要請を受け、コペンハーゲン(デンマーク)から搬送されたものである。アフガニスタン国内で増加し続けるリプロダクティブ・ヘルス・サービスを必要とする人口(70万人)に対して、リプロダクティブ・ヘルス・サービスを提供する。この可動式病院は、医療における様々なニーズに対応できる。同様の施設は、これまでにボスニア・ヘルツェゴビナ、また昨年のインド、グジャラート州での大地震後においても効果的に活用された。

「アフガニスタンの女性には、リプロダクティブ・ヘルス・ケア・サービスが緊急に必要です。この可動式病院の存在は、多くの女性と子どもたちの生命を守るための、小さな一歩に過ぎません」と、国連人口基金事務局長のトラヤ・オベイド氏は語る。

10万件の分娩につき1,700人が死亡するアフガニスタンは、世界で2番目に妊婦死亡率が高い。ほとんどの医療施設では、深刻な人員不足が深刻なため、その機能が著しく低下している。カー・カーナ病院院長のマールーフ・ナディム(Dr. Mahroof Nadim)氏、およびデンマークの外傷外科医のフィン・ウォーバーグ(Dr. Finn Warburg)氏が協力し、可動式病院の運営に当たる。アフガニスタンの医療スタッフは、院内の様々な部署で活躍すると同時に、デンマークのスタッフから学ぶ好機となる。

「この協力体制により、病院スタッフの医療技術が向上し、また、妊産婦および乳児死亡率を低下させ、しいては、日々、カブール住民のために貢献していくことができると確信している」と、ナディム氏は語る。

デンマークからの医師、看護婦、技術者を含む8名の医療スタッフとの協力の下、カー・カーナ病院のアフガニスタン医療スタッフ100名が可動式病院で実働する。

24時間体制で運営し、緊急治療室では外科一般および妊娠・分娩に対応する」と、ウォーバーグ氏は語る。

この可動式病院は、ルクセンブルグ、イタリア、オランダおよびノルエェーの各政府からの資金・技術援助を受け、国連人口基金が供給した。デンマークは、このプロジェクトに対し、別途の資金援助を提供している。

カー・カーナ病院の患者は、8月16日の週末には可動式病院に移ることになる。可動式病院では、ハイリスクな妊娠や分娩についても対応が可能であり、またリプロダクティブ・ヘルス関連および性感染症の治療も提供する。

国連人口基金は、アフガニスタン復興のため、国連の包括的援助体制の一役を担っている。アフガニスタンの保健省および女性問題省と共に、健康と教育の基礎を再構築することを基本に、妊産婦の健康維持、女児教育の強化などを優先事項としている。