国連人口基金(UNFPA)は、女性性器切除の"医療行為化"に対して警告を発した。国連人口基金事務局長トラヤ・A・オベイドは、女性性器切除には健康上のリスクが伴うという認識が高まってきたことにより、このような新しい傾向が生じたと見ている。さらに、成長すると女性性器切除を受けることを拒む可能性があるため、まだ幼いうちに受けさせるという若年齢化に対しても警告を発した。
事務局長は、毎年300万人もの少女がこの女性性器切除の危険性に直面していることに警告を発し、同時に彼女たちを救うための世界規模の取り組みを一層強化するよう要請した。また、国際女性性器切除根絶の日の訴えの中で、「女性性器切除を防ぎ、セクシュアル/リプロダクテイブ・ヘルスの権利を含む人権とジェンダーの平等を向上させるための取り組みに対する支援を強化する」と公約した。
およそ1億2000万から4000万の女性が女性性器切除の対象となってきた。これは、女性と少女の基本的人権を侵しているだけでなく、彼女たちの健康を著しく損なうものである。この行為の結果、出産時に危険性を伴うだけでなく、女性たちは長い間、肉体的にも精神的にも傷を抱えることになる。
女性性器切除が行われている多くの国では、その行為を違法とする法律が既に制定されている。加えて、女性性器切除の身体的・精神的なリスクへの認識が高まっていることを反映し、その行為に反対する者も増加している。
リスクへの認識が高まっていることと、医療サービスが以前より普及したことから、女性性器切除のリスクを最小限にくいとどめるべく、整った診療体制の中で医療の専門家に切除を依頼する親が増加している-その方が安全であると信じて。一方で、医療従事者は、個人や家族からその行為を行うよう圧力をかけられる可能性もある。
「一般に信じられているのとは反対に、どの宗教も女性性器切除を要求してはいません。実際、世界中の多くの宗教指導者や学者、宗教団体は、切除の禁止を要求しています。」と事務局長は語った。
事務局長は、以下のように続けた。「状況をさらに改善するには、法の施行を強化し、人々が教育を受け、地域社会が積極的に関与しなければなりません。」さらに、対話を促進するような介入を通じて「完全に、あるいは部分的に性器切除を止め、別の方法で成人への通過儀礼を行う地域も増えており、これは好ましい傾向です」と述べた。
国連人口基金は女性性器切除を廃止するためのあらゆる措置を支援している。ウガンダやケニアなどに見られるような最も成功した例としては、性器切除なしに少女を成人に導く別の通過儀礼をとりいれている。また、同基金は、地域社会に変化をもたらす主体である地元の指導者や宗教指導者とともに活動している。このようなやり方は、ブルキナファソ、エジプト、エチオピア、セネガルなどの国で成果をあげている。国連人口基金は、人権問題の活動家たちとともに、女性性器切除の実施を禁止する法をより強化するために一層努力していく。