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3月6日、シエラレオネ、フリータウン:10年以上にわたる内戦が終わりを告げ、今シエラレオネはHIV/AIDSという新たな敵に直面している。この新たに発生した危機に対応して、国連は3月6日、国連の平和維持軍を巻き込んでHIV/AIDSに対する喚起を呼びかけ、その感染の広がりを緩めるための画期的なイニシアティブを発動した。

およそ37ヶ国から、1万5,000以上の師団、250の軍事監視団そして約50の文民警察が国連シエラレオネ・ミッション(UNAMSIL)に参加している。これは現在のところ世界で最大の平和維持活動である。

「国連平和維持活動局は平和維持活動軍内のHIV/AIDSに関するに対する喚起を呼びかけることを支援するために、国連人口基金のパートナーと共に活動している。平和維持軍が、自分達そして地域をHIV/AIDSから守るべく、知識を持つことが重要である」とマイケル・シーハン(Michael Sheehan)平和維持活動局事務次長補は発言した。

このイニシアティブで最初になされることは、平和維持軍がエイズ性感染症、そして地域での福祉計画における平和維持軍の役割を特定することであろう。平和維持軍はHIV/AIDS予防、ジェンダー問題そして女性の人権に関して研修を受ける。また、研修を受けた人がそれらを使用して仲間や受入国に知識を伝えてゆくための研修用教材も作成されることになっている。

シエラレオネ事務総長特別代表である、オルイェミ・アデニジ(Oluyemi Adeniji)氏は、「国連シエラレオネ・ミッションは、平和維持軍がHIV/AIDS予防およびジェンダー問題の最新トレーニングを受けることが出来る協調イニシアティブ最初の国連平和維持活動が実現されたことは素晴しい。平和維持軍は、地域への教育活動を実施し、HIV感染をなくすためにユニークな位置付けをされた。知識と技術という武器で、HIV/AIDSと戦い、感染の波を押し返すのである」と述べた。

このイニシアティブは国連人口基金によって調整されることになる。「国連シエラレオネ・ミッションによる平和維持活動は、平和を維持し、シエラレオネの治安を維持するという意味で大きな活躍をして来た。そして今彼らは引き続きHIV/AIDSと戦うという道を選び、さらなる一層活躍の場を広げている。もし我々が、HIVウイルスより早く、HIV/AIDS予防に関する情報と知識を広めることができれば、我々はHIV/AIDSの蔓延を防ぐことができるのである。」とシエラレオネの国連人口基金代表、ママド・ディアロ(Mamadou Diallo)氏は述べている。

フリータウンでのプログラム開始セレモニーでは、シエラレオネ政府役人、シエラレオネ軍および警察の代表、国連軍および一般市民関係者そして国際機関およびNGOの代表を含む聴衆をまえにアラン・ドス(Alan Doss)国連駐シエラレオネ調整官によるスピーチがなされた。

彼は、「HIV/AIDSの脅威は今まで以上に差し迫った問題になっている」と述べ、「数ある協調イニシアティブの1つであるこのプロジェクトは、国連機関そしてその協力機関によって、国連システムそしてその枠組みの外といった両方でのエイズの脅威に対処すべく実施されます」と続けた。

平和維持軍は地域と相互に対話しつつ活動を実施しており、それゆえ地域の人々により効果的にHIV/AIDS予防に関しての教育や情報を伝達することが出来る。「このプログラムは、HIV感染予防、そして女性の人権保護において平和維持軍が担える重要な役割を知らしめることができるということから、現状を打破する画期的なものである」と国連婦人開発基金(UNIFEM)の地域事務所長であるフローレンス・ブテグワ(Florence Butegwa)氏は述べている。

そのほかの協調団体には国連シエラレオネ・ミッション、国連平和維持活動局、国連婦人開発基金(UNIFEM)、国連エイズ合同計画(UNAIDS)、国際移送保健センター(International Centre for Migration and Health)を含む。国際移送保健センターのセンター長はジェノバからメッセージを送り、「平和維持活動軍が、より広範囲の一般市民共同体の中で、彼ら自身を保護し、HIV/AIDSを予防するために何ができるかということに新たな光を投げかけるものである」と述べた。

シエラレオネや世界中で、HIV/AIDSに対して戦って行くことが現在の国連の最重要課題の1つである。HIV感染増加の危機は、社会サービスやネットワークが機能しなくなる紛争時にこそ増加する。

10年以上の長きにわたるシエラレオネの内戦は国や社会の全セクターに深刻な崩壊をもたらした。その被害を免れた場所は無い。6万以上の人が殺され、何千以上もの人々が故意に障害を負わされ、レイプや性的暴力が横行した。人口の約3分の2が生まれ育った場所を追われ、隣国に逃れたり、そうでないものもほんのわずかな財産と共に国内難民となっている。また、今日、家族を無くしたまたは性的虐待をうけた何千という少女は、生きるために、性産業に戻らなければならない状況におかれている。

エイズによるアフリカ人の死亡者数はアフリカ大陸での全ての紛争による死亡者数よりも多い。シエラレオネでのこの協調イニシアティブは復興過程にある国がエイズの蔓延を避けることができるよう支援するために計画された。