1994年のカイロ国際人口・開発会議(Cairo International Conference on Population and Development, ICPD)で採択された行動計画(Program of Action)の実施は、ミレニアム宣言(Millennium Declaration)をはじめ世界の開発目標の達成に多大なる貢献をしている―これは国連加盟国の総意として先週木曜日に開催された人口・開発委員会において満場一致で採択された。
採択された決議では、各国政府はカイロ行動計画を貧困根絶への取り組みへと反映し、カイロ会議で掲げられた目標の達成に引き続き最も高い政治レベルで全力を投じるべきであるとしている。また、カイロ行動計画実施を促進するにはさらなる政治的意思の高まりと資金調達の取り組みが早急に必要であるとされている。さらに、委員会は、先進国は開発における人口・リプロダクティブヘルスのもつ重要性を踏まえ、新規および追加資金援助の取り組みを強化するべきであると指摘するとともに、ドナー国には人口問題支援への資金提供の責務を全うするようつけくわえた。
アメリカは委員会での決議には賛成したものの、カイロ会議のほかリプロダクティブヘルス、リプロダクティブライツ、家族計画サービス、およびセクシャルヘルスに関する主要国連会議において様々な条件や文言の解釈を呈示してきた従来の立場を改めて表明した。また、カイロ行動計画及び関連会議決議の「再確認」は、中絶やいわゆる人工妊娠中絶薬の使用を促進するものとして解釈される文言を「追認」するものではないと述べ、禁欲こそが未婚の若者にとって最も責任のあるかつ健康的な選択であるとの見解を示した。
エジプトもまた自らの立場を表明し、カイロ行動計画の実施は各国の主権、価値観及び世界的に認められた人権に基づくものでなければならないという考えを再度示した。
「77の途上国グループ」(Group of 77 Developing Countries)のひとつであるカタールの代表は、カイロ行動計画に寄せられた強い支持が途上国への資金増加および技術援助のさらなる進展に結びつくよう期待していると述べた。同グループは途上国援助をおこなう国連人口基金への拠出金の増額をドナー国に強く要請した。
委員会の締めくくりとしてトラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「この委員会をとおして、カイロ行動計画が美辞麗句を並べ立てたものではなく、若者の未来、男性と女性、地域社会と健康、そして全ての人々の生命と享受するべき機会に関わっていくものであることが証明されました」と述べ、「ICPD行動計画の実施については、折り返し地点を越えた今なお、カイロの精神は健在で活気に満ち溢れています」とつけくわえた。
現在の人口・開発委員会は1946年に「人口委員会」として設立され、人口とその影響に関して経済社会理事会へ諮問をおこなっていた。カイロ会議ののち、人口委員会は人口・開発委員会と名称を変更し、カイロ行動計画の実施を精査するべく1996年より毎年委員会を開催している。委員会のメンバー47カ国は地理的公平性を鑑み選出されている。