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国連人口基金(UNFPA)は、世界の援助供与国に対して、難民や国内避難民、その他紛争や自然災害に見舞われた人々へのリプロダクティブ・ヘルス関連の緊急ニーズに対応するため、2,000万ドル(約23億円)の資金援助を要求する。妊産婦死亡やHIV感染、紛争や災害に伴って発生することが多い性的暴力を防ぐことが目的である。

この要請は、コフィー・アナン国連事務総長が昨日ニューヨークで発表した「人道支援アピール 2007」の一環として行われたものである。国連機関、赤十字国際委員会、140以上のNGO団体は、世界の援助供与国に対して29カ国2,700万人の人々への支援として4,500億円の資金援助を合同で呼びかけている。

ヨルダン・ハシェミット王国のハヤ・ビント・アル-フセイン(Haya Bint Al Hussein)王女、戦争によって荒廃したコンゴ民主共和国でレイプ被害者治療に取り組んでいる病院のDenis Mukwege 院長の二人とともに、ヤン・エーゲラン(Jan Egeland)人道問題担当事務次長がアピール発表の共同議長を務めた。

国連と人道支援機関は、2006年には数千万人もの人々に食糧を供給し、何千もの緊急医療施設を支援し、約2,000万人もの難民や国内避難民を保護・援助してきた。

しかし、「人道支援アピール2006」の際は、要求した額の3分の2しか得ることが出来なかったため、何百万人もの人々が絶望的な状況に置かれ、援助なしでやっていくことを強いられた。

アナン事務総長は以下のように述べた。「毎年、私たちは、その事実を知りながら、病気や飢えで苦しんでいる子供たちを見殺しにしています。また、絶望的な状況の中で家族を養おうと四苦八苦している母親たちを見捨て、Mukwege医師のように最前線で果敢に挑戦している医療の専門家への援助を怠っています。」

Mukwege医師は、「人道支援アピール」の要求額が部分的に達成されたとしても、それでは十分ではない、と言う。「『アピール要求額の63%が達成された』ということは、残りの37%は重要ではないと判断されたということになるのです。」

Mukwege医師は、さらに以下のように続けた。「残りの37%の人々は、63%の人々と同様に重要であると確信を持って言えます。」医師が勤める病院では、過去5年間キヴ州の性的暴力の被害者1万人が治療を受けている。

人道支援アピール2007」の中で国連人口基金は、妊産婦の保護やHIV感染防止、データ収集に加えて、性的暴力防止とその被害者の治療などの取り組みを提案している。具体的な活動の例としては、以下のものがある。

戦後のブルンジ共和国へ帰還する避難民に対する妊産婦へのヘルスケアとリプロダクティブ・ヘルスサービスの強化

スーダン共和国、チャド共和国、中央アフリカ共和国の避難民への性的暴力の防止と対応

パレスチナ占領地域における妊産婦・乳幼児死亡率の削減(パレスチナ占領地域では、検問所を通過するのに時間がかかり、妊婦が病院に間に合わず道端で出産することを強いられている場合がある)

人道支援機関がより正確にニーズを把握し、適切な支援活動を行うため、世界保健機関(WHO)と協働でソマリアでの保健に関するデータを収集

ウガンダ共和国北部の紛争地域の人々に対するHIV感染予防対策

国連人口基金は、政府やNGO団体、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連世界食糧計画(WFP)、ユニセフ(UNICEF)、世界保健機関などの国連機関との緊密な協力の中で取り組みを進めていく予定である。