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4月14日、ニューヨークにて人口問題の第一人者であるワーナー・フォーノス(Werner Fornos)氏とケニア家族計画協会が2003年度国連人口賞を受賞した。フォーノス氏は人口問題に取組む米国基盤の団体の代表者である。

国連人口賞の審査委員会は毎年、人口問題に関する認識を高めその解決に多大な貢献をした個人と団体に対して賞を送っている。審査委員会は国連加盟国のメンバーで構成されており、国連人口基金が事務局を務めている。

審査委員長のジーン・クロウド・アレクサンダー(Jean Claude Alexandre)氏(ハイチ出身)によれば受賞者は世界各国で推薦された個人(団体)の中から選ばれ、6月に国連本部(ニューヨーク)で開催される授賞式で表彰状、金のメダル、賞金を授与される。

個人部門での受賞となったフォーノス氏は、1982年より人口機関(Population Institute)の会長を務めており、特に人口増加と家族計画に関する認識を深めるための資料や技術を創造することに尽力している。フォーノス氏の推薦者は「人口に関する問題は社会と政府の議論の中心であり、他の候補者に比べて確実に大きく貢献している一人の人を選ぶのは大変難しいことだ」と述べた。

フォーノス氏は人を引きつける講演者であり、年に75回以上の講演を行うという不断の努力を続けている。人口機関の会長として、世界中で広く利用されている『ポプライン(Popline)』 と『21世紀に向けて』 という出版物を刊行した。また、フォーノス氏は米国国内において人口問題への寄付金集めにも力を入れている。

ケニア家族計画協会は団体部門での受賞となる。ケニア家族計画協会は1962年に設立されたボランティア活動を基盤とするNGOで、ケニアでの家族計画活動の先駆者である。推薦者によれば、ケニア家族計画協会はリプロダクティブ・ライツや若者の地位向上に関連して性とリプロダクティブ・ヘルスに関するサービスの対策を推進している。

ケニア家族計画協会は早期から男女平等と平等な権利、女性性器切除の撲滅、早婚の阻止を擁護している。また、ケニヤにおける家族計画プログラムを、ナイロビを基盤とした縦軸モデルからもっと地方の地域に密着した参加型へと移行した。これによりケニヤの家族計画プログラムは避妊具をコミュニティー向けに配布した世界で初めての活動の一つとなった。

ケニア家族計画協会は、既婚のカップルに加えて未婚の若者へのセクシュアル・ヘルスとリプロダクティブ・へルスに関するサービスを拡張することを先導してきたほか、ICPD(1994年に開催された人口と開発に関するカイロ国際会議)の行動計画が男性をターゲットとした家族計画を重視する20年前からそのアプローチを取ってきた。

数人の熱心な活動家により始められたケニヤ家族計画協会は、今では5,000人以上のスタッフを抱えている。

国連人口賞の審査委員会は経済社会委員会(ECOSOC)が国連加盟国の代表から選出し3年間の任期を務める。現在のメンバーはブルンディ、ケープ・ベルデ、ハイチ、キルギスタン、レソゾ、モルドバ共和国、オランダの代表により構成されており、コフィ・アナン国連事総長とトラヤ・オベイド国連人口基金 事務局長が職務上メンバーとして参加している。

2003年度は9人の個人と8つの団体を含む17組が推薦された。推薦することが出来るのは国連加盟国、人口に関する活動を行う政府間機関、国連諮問機関として指定されている人口問題に関わるNGO、人口や人口に関する教育を行う大学教授、人口に関する活動を行う機関の代表、そして過去の受賞者である。