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国連人口基金(UNFPA)の最新の報告書によると、避妊具を必要としている発展途上国の2億人の女性のすべてのニーズが満たされれば、毎年1,500万人の女性と子どもの命が救われ、望まれない出産の数が72パーセント減少する見通しであることが分かった。望まれない妊娠が減れば、女性や子どもがより健康になり、妊産婦および乳幼児の死亡数が減ることになる。

この報告書"Reducing Poverty and Achieving the Millennium Development Goals"に記された、リプロダクティブ・ヘルスへの投資により将来見込まれる結果には、より健康で生産的な個人や家族、そしてより強く豊かな国家の姿が反映されている。

これらの報告は、今日国連本部で行われた、様々な政府や国連機関の代表者による保健衛生に関する円卓会議の議場で発表された。

家族やコミュニティにおける福利を向上し、経済を景気づけ、女性と子どもの命を助け、そしてHIV/エイズの蔓延を抑制することなどがリプロダクティブ・ヘルスの利点であり、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するための長い道のりを支えるものである。

この報告書によると、リプロダクティブ・ヘルスの不足は、全女性の3分の1、男性と女性を含む全世界の5分の1の疾病や障害の原因であるとされている。

全世界の60億人の人口の約半分は25歳以下であり、それら若年層の中でもっとも人数の多い世代は今、生殖可能な年齢に差しかかり、労働力としても期待されている。これらの若者がどう暮らしていくかにより、その国の将来の発展が大きく左右されることになるだろう。若者の健康や発達への今日の投資は、彼らの栄養状態を改善し初等教育を施してきた以前の投資を引きつぎ、さらに強化するものである。

特筆すべきは、性の健康やリプロダクティブ・ヘルスへの投資は、身体的および精神的な利益に加え、教育・住居・食糧などの社会サービスへの公共投資を含めた、保健分野だけにとどまらない経済的な利益をももたらすという点である。例えば、家族計画に投資される1ドルあたり、将来タイで16ドル、エジプトで 31ドル以上の節約につながるとされる。

家族計画へのアクセスは多産を抑制し、死亡率を低下させ、より多くの若者が労働市場で活動することを可能にし、マクロレベルで大きな経済効果を生み出す「人口の好機」をもたらす。報告書によると、被扶養者に比べ多くの労働者が潜在することにより、「より多い短・中期の貯蓄と投資を通じて、国家の経済成長率を押し上げることができる」とされている。「人口の好機」は、途上国における貧困を2000年から2015年の間におよそ14パーセント減少させることができるだろう。

また、この報告書は、実践的なリプロダクティブ・ヘルスへの投資方法をいくつか提起している。それらは、今年初頭に多くの閣僚や議員、多国間組織、市民団や青年団の代表者たちによって是認された"Stockholm Call to Action"の中にも含まれている。その文書では、女性のエンパワーメントや公平な保健システムを実現させるため、リプロダクティブ・ヘルスとHIV/エイズへの取り組みをより連携させ、若者の健康と発達を促進させるための投資を呼びかけているほか、開発と安全保障と人権の相互依存関係を強調している。