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フィスチュラ撲滅グローバルキャンペーンに関する新たなウェブサイトが今日開設された。フィスチュラ(膣瘻)とは難産の際に起こる膣の損傷で、開発途上国に暮らす少なくとも200万人の女性が苦しんでいるとされる。このウェブサイトでは、3分間の動画ファイル、フィスチュラ撲滅キャンペーンの進捗が記された双方向地図、フォトギャラリーそしてフィスチュラ患者やフィスチュラの治療に携わる医師の話などが盛り込まれている。

フィスチュラは予防可能な疾病であり、罹患しても300ドル以下の外科手術で治療できるものである。このフィスチュラ撲滅グローバルキャンペーンは、 UNFPAが2003年にはじめたもので、フィスチュラが女性の生命に与える壊滅的な影響が明らかになるなか、その対策としてたちあげられた。キャンペーンはさまざまな団体・個人からの協力のもと、現在では、サハラ以南のアフリカ、南アジア、アラブ諸国の30カ国において支援活動を行なっている。キャンペーンの長期的目標とは、開発途上国におけるフィスチュラに苦しむ患者数を今日の先進工業国のレベルまで下げることである。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「私たちの協力によってフィスチュラの撲滅は可能なのです」と述べ、フィスチュラは20世紀に医学が進歩するまでヨーロッパやアメリカでもよく知られた病気であったことを指摘した上で、母子保健システムの強化や政策立案者や地域住民の啓発によって、フィスチュラに苦しむ女性が必要なケアを受けられるようにすることの重要性をうったえた。

キャンペーンの活動には、フィスチュラの予防、罹患した女性の治療、治癒後の女性の社会復帰支援、の3つがある。例として、ニジェールでは600人の地域保健職員がフィスチュラ予防に関する基礎訓練を受けたほか、バングラデシュでは国立フィスチュラセンターが週に3日手術を施すことにより今年は140名の女性を治療している。また、チャドでは治癒した女性数百人に対して収入創出プログラムの一環として職業訓練や少額の補助金を提供している。

このキャンペーンに参加している国はそれぞれ、3つの段階を踏んでフィスチュラの撲滅に取り組んでいる。第一は、国内のニーズ・アセスメントを行い、問題の程度および必要となる資金、人的資源の需要の大きさを査定する。第二は、アセスメントに基づき国家的対策を計画する。第三は、そうした対策プログラムの焦点を予防、治療、女性の社会復帰支援に当てて実施することである。

通例フィスチュラが起こるのは数日間にわたる難産にもかかわらず帝王切開など必要な医療行為がなされない場合で、胎児は死亡し妊婦は慢性的失禁状態になる。フィスチュラにかかった女性は、甚だしい社会的差別を受けながら治癒の道があることも知らされず何年も生活を送ることが多い。