本日、歌手で俳優のナタリー・インブルーリア(Natalie Imbruglia)、アモス男爵夫人(Baroness Amos)、公衆衛生専門家、および広告代理店の幹部が集まり、フィスチュラ (産科ろう孔) についての啓発活動推進計画を立てた。フィスチュラは出産によって起こる疾病で、患者女性に耐え難い痛みや慢性的失禁をもたらし、しばしば死産をも招く。今回の会合は軽視されてきたこのような問題を表面化させるため、英国市民を対象とした広告キャンペーンを始めるために開かれた。
「フィスチュラは、英国では100年以上も前に撲滅された疾患です。それなのに、開発途上国に暮らす女性は予防も治療も可能なこの病気にいまだに苦しめられているというのは受け容れがたいことです」と国連人口基金(UNFPA)フィスチュラ撲滅キャンペーン(Campaign to End Fistula)報道官のインブルーリア(Imbruglia)は語る。
フィスチュラは閉塞性分娩の際、迅速に医療ケア(多くの場合、帝王切開)が受けられないことで起こる。簡単な外科手術を行えば90%という高い確率で治るにもかかわらず、途上国の少なくとも200万人の女性が治療を受けることができずにいる。それだけでなく毎年約5万~10万人のペースで患者が増加している。
「フィスチュラは、身体的にも精神的にも女性を死に追いやります。女性にとってこの疾病を患うことは身体不随になるのと同じことであり、精神的にも大きな苦痛が伴うのです」とアフリカでこの疾病の治療にあたったナイジェリア系英国人医師グロリア・エッセボナ医師(Dr. Gloria Esegbona)は語る。
国連人口基金の「フィスチュラ撲滅キャンペーン」は現在、サハラ以南のアフリカ、南アジア、またアラブ圏の35カ国以上の国々で実施されている。重点的な活動分野は、フィスチュラの予防、治療、そして手術後の女性への支援の3つである。開発途上国においても、先進諸国と同程度の発生率となるようにすることがこのキャンペーンの目的である。
撲滅への鍵は予防にあるため、質の高い母子保健医療サービスへのアクセスを向上させることがフィスチュラの予防に役立ち、毎年妊娠合併症で亡くなる何千何百もの女性の命を救うことにつながる。
「開発途上国では妊娠や出産によって女性が毎分一人の割合で亡くなっています。しかしこのことは、ほとんど語られていません」と、上院議長で国際開発に関する政府報道官アモス男爵夫人は語る。
「フィスチュラ撲滅キャンペーン」は2003年の開始以来、世界中のパートナーと手を結んできた。協力団体には、世界保健機関(WHO)、米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)、人口協議会(Population Council)、民間セクターからはヴァージン・ユナイト(Virgin Unite)や、広告代理店ヤング・アンド・ルビカム(Young & Rubicam)の在ロンドン系列会社であり、広告の受賞経験もあるレイニー・ケリー・キャンベル・ロールフ(RKCR/Y&R)などがある。
本キャンペーン用広告は、RKCR/Y&Rにより国連人口基金のために無料で制作され、7月の一カ月間、ロンドン市内で見られる予定である。