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救命のための薬と手術用具を積んだ国連人口基金(UNFPA)のトラックは、地震でもっとも大きな被害をうけた地域に、すでに到着し始めています。パキスタンで8日に発生したマグニチュード7.6の大地震によって、4万人の妊産婦を中心とする被災者に対する緊急支援費用として、国連人口基金は10日、 320万ドル(約3億5,000万円)が必要であるとして、国際社会の協力を求めると発表しました。

薬と必需品をのせた4台の国連人口基金のトラックが地震直後に派遣され、ムザファラバード(カシミール地方のパキスタンが実効支配する地域の中心都市)への道が再開されると同時に、さらに救援物資をのせた4台のトラックと、移動医療チームが、人道支援と追加医療支援の調査のために現地におくられました。

少なくとも4万人の女性がこの地域で現在妊娠中であり、安全に出産するためには、適切な栄養、医薬品、産前ケアが必要であると国連人口基金は推計しています。通常の出産でも15%ほどの妊産婦は、母体と生まれてくる子どもの命をまもるために、緊急産科ケアが必要とされていますが、今回の大地震によって引き起こされる身体的および精神的な傷害によって、この割合がより高くなるだろうと懸念されています。

国連人口基金は、(1)今すぐ必要な母体の健康管理と緊急産科ケアのために220万ドル、(2)衛生用品の調達に100万ドル、を求めています。パキスタンの保健省、世界保健機関(WHO),ユニセフと協力して実施されます。

国連人口基金のトラヤ・オベイド事務局長は、10日、国際社会に向けてのアピールのなかで、緊急事態における女性の固有なニーズが、緊急段階とその後の中・長期の計画に含まれることの重要性について触れています。「イランの地震やインド洋津波に対応した国連人口基金の経験によれば、妊娠や衛生に関する配慮は、最初の計画段階から考慮されるべきであることがわかっています。母体の健康管理、緊急産科ケアはお母さんと子供の命を救います。石鹸やタオル、衛生用品などは、全てを失ったのちも、女性たちが尊厳を保ち、危機的な状況のなかでも活動をつづけてゆくためには、非常に重要なのです。」