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ニジェールでは、現在食糧危機のため、妊娠中または授乳中の女性の栄養不良状態が深刻化しており、特に大きな被害の受けた地域ですでに高い妊産婦および乳児死亡率と疾病率をさらに助長する恐れがあることが、国連人口基金(UNFPA)ニジェール事務所の報告で分かった。

国連人口基金はこの脅威に対し、被害を受けた数十万人の妊娠中または授乳中の女性の妊娠や、出産に伴う合併症予防のための緊急リプロダクティブヘルス支援40万米ドルを要請している。

ニジェールは世界で最も妊産婦死亡率の高い国の一つであり、女性7人のうち1人が妊娠に関わる原因で死亡する危険性がある。妊娠中、または授乳中の女性が必須ビタミンやミネラルなどの適切な栄養を摂取できるようにすることで、妊産婦および子どもの死亡や出生異常、失明、貧血、病気に対する脆弱性を削減することができる。専門家は、母親の栄養失調を削減することで乳児の身体障害を3分の1まで減らすことができると推定している。

国連の推定によると、ニジェールの全人口約1,200万人のうち約360万人が、現在の食糧危機で被害を受けているとされている。そのうち約270万人は極度に脆弱で、食糧援助が必要とされている。さらに、それら被害を受けた人々の中でも妊娠中または授乳中の母親は最も危険にさらされているグループであり、26万1,000人以上の女性が救急治療を必要としているとされている。

国連人口基金ニジェール代表マーレーン・フランソワ・レイズ(Marlene Francois Lays)は、「私たちが現在ニジェールで直面しているような人道危機の際には、妊娠中または授乳中の女性とその子供たちが極めて脆弱なのです。」「国連人口基金は食糧提供の現場を通じて、そうした女性が健やかな妊娠と安全な出産ができるよう手を差し伸べています。私たちは政府や他の国連機関、パートナー NGOと協力して、この人道危機の中で女性が安全なリプロダクティブ・ヘルスケアにアクセスができるよう活動を続けています。」と述べた。

本日、国連事務総長コフィ・アナンとナーン・アナン(Nane Annan)はニジェールでの二日間の滞在を終える。二人は加速する砂漠化や、長引く干ばつ、度重なるイナゴの大量発生に取り組む上で、政府とニジェールの人々との結束を強調した。

政府の食糧危機対策部、国連機関、NGOとが共同で行動を起こすことは、この危機に対処する上で不可欠な要素である。今月初めに提出された、改訂版の緊急アピール(Flash Appeal)では、年末までの緊急事態に対応するため8,090万ドルを要請し、国連人口基金はニジェール全地域で被害を受けた保健センターで緊急産科キットを購入するため40万ドルを要請した。

国連人口基金はすでに首都ニアメー(Niamey)に緊急支援対策調整部を設置し、ダカールから地域アドバイザーと国内の専門家を呼び、カントリー・チームを強化している。国連人口基金と保健省スタッフ合同で食糧危機の情報を収集する評価ミッションが今月実施された。国連人口基金よりアンケートが策定され、世界保健機関(WHO)と保健省が、最も被害を受けた地域の保健医療のニーズを評価した。

先月、国連人口基金とニジェール政府は、国内で最も大きな被害を受けた地域ジンデル(Zinder)とアガデズ(Agadez)の二ヶ所における、妊娠中、または授乳期の母親を支援するための約10万ドルを拠出する財政協定を結んだ。保健センターを訪れる女性にはマラリアを予防するための薬剤が含まれている蚊帳が提供される。マラリアは妊娠中の重い貧血や低体重の新生児の原因となることがある。安全な出産のためのビニールシートや手袋、注射器、薬、医薬品が入った基礎産科キットも配布される。

世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(UNICEF)、ヘレン・ケラー・インターナショナルからは追加して援助資金が提供されている。合意の下、葉酸や鉄分、ビタミンAといった栄養補助食品、274トンのシリアルと75トンの豆類、19トンの油が提供される予定である。保健省では、地域および地元レベルで、さらにパートナーNGOにより栄養補助食品が配布される。ビタミンAや葉酸、鉄の欠如は出産時に妊産婦とその乳児に、低体重や大量出血、敗血症に影響を及ぼし、深刻な場合には母子に死亡に至らせることもある。

栄養不良の状態により、下痢やコレラなどの病気が発生し増大した村もあった。支援を実施するパートナーたちは今回の食糧危機被害を受け、将来の緊急事態とそれにともなって起こる健康問題に対応するためのヘルスケアと資金返却システムについて、今月初めに協議の場が設けられた。6ヶ月以内に行動計画が導入される予定である。