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セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルス・ケアの欠落は、世界中の疾病・早産による死亡原因の2割、特に出産年齢女性の死亡・疾病理由の3分の1を占めている。本日発表されたアラン・グッドマッハー研究所(AGI)およびUNFPAによる新しい報告書Adding it Up: The Benefits of Investing in Sexual and Reproductive Health Careによると、費用対効果の高い投資によってこの不足を補うことが出来、何百万人もの命を救うことができるという。

経済・社会・健康分野へ投資がもたらす多様な便益を、政策立案者や政府およびドナーは非常に過小評価している、と同報告書は強調している。リプロダクティブおよびセクシュアル・ヘルスを向上させることは2000年に定められたミレニアム開発目標を達成するうえで不可欠なのである。

このAdding it Upは、本日ここロンドンでの記者会見においてトラヤ・オベイド(Thoraya Obaid)国連人口基金事務局長およびシャロン・キャンプ(Sharon Camp) AGI所長によって発表された。このレポートでは (1)HIVを含む性感染症の予防・診断・治療、(2)妊産婦の健康、(3)望まない妊娠を防ぐ避妊関連サービスおよび避妊具・薬の供給、といった3つの主要分野への投資が社会や個人に与える広範囲の影響を例示することによって、特に貧困国におけるセクシュアル・ヘルスとリプロダクティブ・ヘルス・サービスへの資金供給の増加を根拠付けている。

健康に与える潜在的な効果を顕著に示す一例としてこの報告書では以下の事実を指摘している。すなわち、現在、開発途上国で実施中の「妊娠を望まない女性」5億人に対する避妊具・避妊薬提供プログラムが以下のような状況を毎年予防できているという事実である。

•1億8700万件の望まない妊娠
•6000万件の計画外出産
•1億500万の人口妊娠中絶
•2200万件の流産
•270万件の乳児死亡
•21.5万件の妊娠に起因する死亡
•68.5万人の母親を失う子供達
また同報告では、避妊具・薬およびサービス供給の世界的に深刻な不足も訴えている。妊娠を望まない女性が近代的避妊具薬を得られるようになるためには、一年あたり、現状よりも更に39億ドルの出資を要するが、この増資により、年間で更に150万人の女性と子供の命を救い、人口妊娠中絶を64%減らし、妊娠関連の疾病を減らし、延べ2700万年分の健康な生活を保障することが可能になる、としている(一年たった144ドルのコストで健康な生活を送れるため)。

セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルス向上の効果は、サハラ以南のアフリカ、北アフリカ、西および南アジアなどの、サービス提供がもっとも稀薄で健康への負荷の高い貧困国において、特に顕著に表れると考えられる。

セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルスへの投資は健康面での大きな便益をもたらすとの強い立証は出されてきたが、医療面以外での便益は数値化・計量化が困難であることもあり、これまで過小評価されてきた。この報告では、広範囲にわたる調査研究と様々の手法を援用しながら、経済的社会的便益を可視的に示す試みをしている。

例えば、セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルスの問題は男女の青春期に影響するため、セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルス・サービスの提供は以下のことに貢献する。

•家族規模の縮小による、家族全員、特に女子へのより多くの教育の機会
•高い貯蓄および経済成長を伴う、より健康で、ゆえにより生産性の高い労働力
•より高い社会的および政治的参加の水準
•妊産婦の健康問題、家族への助成金および孤児への支援に関する公的支出の削減
Adding it Upは、開発途上国における個人消費者、中央政府および非政府組織が、総支出の内の4分の3以上をセクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルス・ケアの分野へ投じていることにも言及している。ドナー諸国は、1994年の国際人口・開発会議で公約した拠出水準を大きく下回っている。

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国連人口基金は、人口分野における世界最大の国際機関で、開発途上国へ向けたリプロダクティブ・ヘルスへの支援、持続可能な開発のための人口データの使用を支援している。

アラン・グッドマッハー研究所(AGI)は、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルスの研究、政策分析および学校教育のための非営利組織である。
www.guttmacher.org