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深刻なHIV/AIDS問題に対応するため、国際家族計画連盟(IPPF)と国連人口基金(UNFPA)は「VCT(HIVに関する自発的カウンセリングと検査)サービスをリプロダクティブ・ヘルスと結合」させるため、プログラムの立案者、管理者や提供者に対する新しい行動指針(ガイドライン)を発表した。

HIV/AIDSは人々の健康および社会・経済の安定に深刻な影響を与え続けている。自発的カウンセリングと検査は、HIVへの感染予防を促し、また、 HIVに関連する病気の治療、母子感染の防止、結核の制御、そして心理的法的サポートへと繋がる重要な手段である。しかし、VCTはあまりに大抵の場合、人々の全般的な性と生殖に関する健康ニーズを満たすサービスとは切り離されて別個に提供されている。

・なぜVCTを性と生殖に関する健康サービスに統合すべきなのか?

2つの地域(コートジボワールとインドで2ヶ所ずつ)で実施されたパイロット・プロジェクトの結論から、VCTを性と生殖に関する健康への取り組みに含めることで多大な便益が生まれることが明らかになった。それは、HIV/AIDSにまつわるスティグマ(否定的な意味合いを持つ社会的認識)を減らし、健全な性行動への意識を高め、サービスへのアクセスおよび利用増加を促すからである。また、既存の資源やインフラの活用で済むため、費用節減にも繋がる。

この新ガイドラインは上記の地域およびケニヤ、ルワンダ、そしてエチオピアでの経験を踏まえて策定されている。ガイドラインは、内外の成功例を取り上げた先行研究を援用しながら、幅広いパートナーとの協働によって策定されたものである。

・段階的アプローチ

性と生殖に関する健康への取り組みの中にHIV/AIDSのVCTを統合するために、新ガイドラインは、包括的サービスの効果的策定、実施、監視、そして評価のための段階的アプローチを示すことで、政府・非政府の供給者に実用的な情報を提供している。

HIV/AIDSの蔓延を防ぐ取り組みはそれ単独では成功しない」とスティーブン・シンディング(Steven Sinding)国際家族計画連盟事務局長は語る。「人々の性と生殖に関するニーズに、協議的・全体医療的観点から取り組むことによってのみ、HIVウィルスが引き起こした致命的な状況に歯止めをかけることが出来る。」トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は付け加えた。「HIV予防とリプロダクティブ・ヘルスを関連付けることで、HIV感染に脆弱な何百万人の人々、特に女性に手を差し伸べることが出来る。我々は、VCTと効果的な予防の障害となっているスティグマや差別を乗り越えなければならない。」

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4万もの診療所を通じて2400万人以上の人々を扱う、世界最大の性と生殖に関するサービス提供者であるIPPFは、HIV/AIDSの蔓延を阻止するために重要な役割を果たしている。リプロダクティブ・ヘルスと人口問題に関するプログラムを支援する世界最大の拠出機関であるUNFPAは、HIV予防とリプロダクティブ・ヘルスの統合を支援している。