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先月の津波生存者は依然として生活必需品とヘルスケアの機会が不十分で、その多くが仮設避難所近郊のコミュニティーや専門家チームの報告に頼らざるを得ない状況が続いている。

現在妊娠3ヶ月で3人の子どもを持つ28歳のウシラー(Usirah)は、3日間衣服を変えていない。彼女の所持品は、被災前公務員として働いていたカラピャク(Karapyak)ビーチの宿屋を壊した強力な波によって流されてしまった。

「全てにおいて厳しい状況です」と彼女は述べた。「水浴用に水を確保する手段がありません。ケアを一度も受けたこともないし、ここに来た医療従事者が全員男性なのでそうしようとも思いません」

ウシラーと、3人の子どもを持つ妊娠4ヶ月で25歳のコミア(Komiah)は、以前働いていた宿から遠くないバゴロ村で、46人の女性たちと一緒にテントで避難生活を行っている。約68人の男性生存者達が地域のコミュニティーハウス前に仮テントを設置した。

「多くの人たちが水浴びのために近所の家々を回ります」、「キャンプ地でトイレを使用したい人は、順番が回ってくるまで長い列に並ばなければなりません」と国連人口基金(UNFPA)から派遣されたリプロダクティブ・ヘルス調査チームの一員であるウィ・ウィナルニ(Wiwin Winarni)は述べた。

7月17日に起きたマグニチュード7.2の地震で発生した津波によって、ジャワ島南岸に沿い、ジャワ島中西部、ジョグ・ジャカルタ州が被害を受けた。ジャワ島西部のタシクマラヤ(Tasikmalaya)地方と、チアミス地方の観光都市パンガンダラン(Pangandaran)は最も被害の大きい場所で、約623人が亡くなり、176人が行方不明で、7600人が住居を失った。

災害が起こると、女性や少女は最も弱い立場に置かれる。というのはリプロダクティブ・ヘルス関連の必需品が十分に供給されることはまずないからである。また水や生理用ナプキンの入手が困難であるため妊産婦が健康問題に直面し、特に合併症を患っている人々にとっては、妊産婦ケアの不足により母子ともに命の危険にさらされる。合併症は通常、妊産婦の約15%に起こるが、緊急時にはストレスやトラウマ、困難な生活環境が原因で、より頻繁に起こりうる。

助産師であるエリン(Elin)は、チアミス(Ciamis)にある全ての仮設住居を訪ねている。「医療器具を失くしたため、避難している妊産婦の出産時に最良の処置を施すことができません。女性や少女、新生児の衛生状態を保つための物資を非常に必要としています」とエリン(Elin)は述べる。

「被災地の医療従事者や医療施設が直ちに仕事を再開できているということは良いことですが、物資が不足しているため、避難民やコミュニティーで暮す人々に最良の処置を施すための支援を必要としています」と国連人口基金インドネシア事務所代表ザヒドル・フク(Zahidul Huque)は述べる。

「チアミスとタシクマラヤ地方でニーズ・アセスメントを行った結果、避難民ケアを行っている現地の助産師は、救命のための妊産婦ケア物資を必要としていることが分った。国連人口基金は、今後3カ月を見込んで50個の助産師用キットを発送し津波生存者の衛生状態を保つために追加物資を発送する予定である。

また、同基金は州や地方の保健局を支援し、母親や新生児に関するデータ収集を行っている。「受益者や医療従事者、彼ら・彼女らの能力に関するデータは、支援の優先事項を決定するにあたりとても役に立ちます」とニーズ・アセスメントチームの一員であるトミー・スラクソノ(Tommy Sulaksono)は述べる