イエメンに住むイブティサムさん*(16歳)は、14歳で結婚した自身のエピソードを語ってくれました。イエメンでは18歳までに結婚した少女が400万人いるとされており、うち140万人は15歳前での結婚です。
イエメン、タイズ州サラ地区:私は幼い頃から、児童婚による増加する妊産婦死亡を防ぐため、産婦人科医になることを夢見てきました。内戦や抗争の悪化により、多くの家族が仕事を失い、避難を余儀なくされました。安全な場所に身を置くため、私も家族と一緒に親戚の家に近い別の地区へと引っ越しました。
一人娘が男性のいとこ達と交わることを不安に思った両親は、私の結婚のために避難することを選んだのです。
結局14歳の時、私は10歳年上のいとこと小さな結婚式を挙げました。学校をやめ、友達も家族も失いました。とても残念でしたが、私にはこの状況を受け入れるほかなく、その後1か月も経たない間に妊娠しました。
状況が安定してきた頃、両親は実家に戻り、私は夫と二人で家に残されました。驚いたことに、夫は私を虐待し始めたのです。彼は自分との間に身籠った子どもではないと疑い、流産させようと私のお腹を何度も叩きました。
私は家族と連絡を取ろうとしましたが叶わず、夫からの暴力に耐えられなくなり、とうとう、噂を聞いたことがあった国連人口基金(UNFPA)が支援するセーフスペースに助けを求めました。
私はセーフスペースで、心理的なサポートと健康に関するサービスを受けました。そこで私はシェルターを紹介されましたが、行く気になれませんでした。その代わりに、セーフスペースは両親と連絡を取り、自宅まで安心して帰れるようケースマネージャーが付き添ってくれました。
内戦が始まって以来、これほどまでに自分の体調や境遇に配慮をしてもらったことはありませんでした。父の家に着いた途端、一気に肩の荷が降りました。セーフスペースで数週間にわたる心理的なサポートを受けた結果、私の体調は大きく改善し、生まれてくる子どものことが楽しみで頭がいっぱいになりました。
セーフスペースでは職業訓練プログラムも用意されています。私は3か月間裁縫を学んで生計を立てられるようになった上、最終的には他の女性を教える立場になりました。
私はこの国が人々の権利を守り、人間らしい生活を営めるようサポートできるとは期待していませんでした。しかし、私に寄り添ってくれた人たちの支援のおかげで、その考え方は変わりました。
イブティサムさんは妊娠7か月目に合併症を起こし、UNFPAが支援する病院で緊急帝王切開により男の子を出産しました。セーフスペースが派遣する弁護士の支援を受け、イブティサムさんは離婚することができ、毎月の養育費が認められました。父が教師の職を失った時、彼女は他の兄弟を含め、家族の中で唯一収入を得ている者として家計を支えるようになりました。
2011年の世界保健機関(WHO)の多国間調査によると、妊婦の1~28%がパートナーからの身体的暴力を経験しており、大多数の国で4~12%の割合を占めています。
*プライバシー保護のため、名前を変更しています。
本文は当該記事を、駐日事務所にて翻訳・編集したものです。