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1994年のカイロでの国際人口・開発会議(International Conference on Population and Development, ICPD)で採択された行動計画(Programme of Action, POA)を完全に実施することこそが、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals, MDGs)の達成につながる―今日、最終日を迎えた閣僚級会議で、アフリカ各国代表は行動計画実施に向けて今後も積極的に取り組んでいくことを再確認した。

ジェンダーの平等と女性のエンパワメントはその達成自体が大きな目標であるのみならず、貧困の連鎖を打ち破り、アフリカの人々の生活を向上する鍵でもあるとアフリカ諸国は強調している。

会議ではアフリカ各国政府の人口問題・開発に携わる閣僚が、カイロ行動計画を再確認する宣言文および事前におこなわれた専門家会議での報告書を採択し、行動計画に対する見解を明らかにした。また、各国代表はこの宣言文と報告書をカイロ行動計画と1992年の「人口・家族・持続可能な開発に関するダカール/ ンゴール宣言(Dakar-Ngor Declaration, DND)」をアフリカで実施する際の詳細な計画案であると位置づけている。この閣僚級会議は、カイロ行動計画の実施を評価するため、国連アフリカ経済委員会(Economic Commission for Africa, ECA)によって開催された。

採択された宣言のなかで、アフリカ各国政府は、カイロ行動計画やダカール/ンゴール宣言の実施を通じ得られたこの10年間の進歩をさらに拡大するべく、また、今回の専門家会議であげられた提言を実行に移すよう、最大限の努力をしていくことを明らかにした。貧困の削減、リプロダクティブ・ヘルス、HIV/エイズ、妊産婦死亡および女性のエンパワメントに対してはとくに焦点が当てられることになっている。

コフィー・アナン国連事務総長は会議に際しメッセージを寄せ、こうした計画案をもとに着実な実施を進めることの緊急性をうったえた。メッセージの中で事務総長は、「今行動を起こさなければ、今後10年間で、およそ250万の妊産婦、750万の乳幼児の命が奪われ、4900万人が出産にかかる疾病で苦しむとされています。これはあまりにも高すぎる代償ではないでしょうか」と述べ、このような事態を招かないよう、会議の参加者に対し一刻も早い対応を求めた。このメッセージはアフメド・ウールド・アブダラ(Ahmedou Ould-Abdallah)国連事務総長西アフリカ特別代表によって代読された。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、各国政府に対し、適切かつジェンダーに配慮した資金配分がなされるよう強く求めるとともに、HIV/エイズの問題をよりオープンに対話できるよう、また、リプロダクティブ・ヘルス、HIV/エイズ、ジェンダーに関する政策がより効果的に実施されるよう体制の強化をうったえた。また、オベイド事務局長は続けて、「幼い少女が結婚を強制されているかぎり、わたしたちは全ての人々の人権が保障されるよう全力を尽していくのです。女性がフィスチュラ(膣瘻孔)に苦しみ、まるで財産の一部のような扱いを受けているかぎり、わたしたちは全ての人々の人権が保障されるよう全力を尽していくのです。女性に機会の均等・法の下の平等が保障されれば、それによる利益は全ての人を利するものであるでしょう。それは家族、社会そして国を利するものであるからです」と演説した。

「人口問題とリプロダクティブ・ヘルスにおいては一定の進歩が見られます」とララ・ベン・バルカ(Lalla Ben Barka)アフリカ経済委員会事務局次長がキングスリー・アモアコ(Kingsley Amoako)同事務局長に代わり、カイロ会議以降のアフリカ諸国の動向について説明をした。ベン・バルカ事務局次長は、さらに、「こうした進歩があるいっぽう、依然として多くの課題が残されています。高い妊産婦死亡・疾病率、エイズの蔓延にくわえ、思春期の若者性と生殖に関する健康は脅かされており、女性差別の撤廃を妨げるような慣習が残っている国が少なくありません。このような問題に現実的な対応がなされないかぎり、開発目標を達成することはできないでしょう」と述べた。

今日の会議の冒頭、セネガルのマキー・サール(Maky Sall)首相は、「アフリカは依然として世界で最も妊産婦死亡率が高い地域である」と述べ、この妊産婦死亡率を下げるには、リプロダクティブ・ヘルスを一次的ヘルスケアに組み入れる必要があると提言した。

会議で採択された宣言文と計画案には、アフリカ諸国が、関連資機材の入手確保などを含んだより包括的なリプロダクティブ・ヘルスサービスへのアクセスの拡充と正確な情報の提供に一層の努力をすることが謳われている。HIV/エイズに関しては、性と生殖に関する健康という視点から、HIV/エイズや他の性感染症の予防・診断・治療にさらに力を注いでいくとし、HIV/エイズ感染者を持つ家族やエイズ孤児の支援のほか、感染予防に資する情報・教育・サービスが男女・年齢を問わず行き渡るようシステムの改善をしていくことが盛り込まれている。また、妊産婦死亡に関しては、毎年24万人以上の犠牲がある現状を鑑み、基本的な医療体制の拡充と包括的なリプロダクティブ・ヘルスケアを通じて減らしていくとされている。

会議に参加したアフリカ各国代表は、宣言にくわえ、カイロ行動計画および関連する国際的合意をより速やかに実施するには国家資源の一層の活用と集中的な配分が重要であるとしたうえで、先進国のさらなる財政支援をうったえた。また参加各国は、すべての国に対して、ダカール/ンゴール宣言やカイロ行動計画の実施支援における国連人口基金の重要な役割を認識し、国連人口基金への支援を増やすよう強く求め、会議は閉幕した。

このダカール会議はカイロ会議での合意から10年を記念する地域イベントの1つで、同様の会議はすでにアジア、太平洋州、ヨーロッパおよび南北アメリカで開催されている。