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開発途上国の若者の移動は増加しており、国際人口移動者全体の3分の1を占める。若者は様々なバックグラウンドを持ち、多くの理由から国境を越える。これら若者の移動は希望と成功として描かれることが多いが、幻滅と絶望もまた多い。



国連人口基金(UNFPA)は、「世界人口白書」の補足として初めて若者に関する資料を発行した。報告書「Moving Young(移動する若者)」では、若い移住者について社会、経済、人口的側面から取り上げ、移住生活を続ける若者の話を掲載している。若者自らの言葉で語られている経験は、何百万もの若い男女が新しい土地へ乗り出すときに直面する苦難と好機を描いている。これらは、「世界人口白書2006」で取り扱っている多くの課題に関する直接の経験を報告したものである。



「Moving Young(移動する若者)」は、若い移住者の生活や自らの家や国を去らざるを得なかった理由について紹介している。若者の多くは仕事やより良いチャンスを求めているが、一方で内戦や迫害から逃れることを余儀なくされている者もいる。海外における教育を求める学生の数も増加している。多くの若者が海外で暮らす両親や親戚と再会するために、また結婚するために故郷を離れるが、その中には自分の意思に反してそうせざるを得ない若い女性もいる。甘い誘惑に乗せられ喜んで行った人々も多いが、その一方で強制的に性的労働を強いられる者も多い。



報告書では、若者に対し自国において機会提供の場をつくり出すことが必要であると指摘する。また各国の首脳や政策立案者に対して、出身国と受け入れ国の双方において移住する若者の人権を守り、彼ら/彼女らが社会にとって貢献していることを認識することを求めている。各国政府は、若い移住者を重荷や危険分子と考えるのではなく、彼ら/彼女らの機知と活力を十分に生かすことが必要である。



若者は、工夫や創造性、忍耐や勤勉という特性を持っていて、何か新しいことに挑戦したいと考えているのです。正しく導き指導すれば、若者の活力により健全な社会がもたらされるでしょう」と国連人口基金事務局長トラヤ・A・オベイドは述べる。



ブルキナファソ、コロンビア、インド、ケニア、リベリア、モルドバ、オランダ、フィリピン、スリナム、ザンビアの10カ国の若者を報告書は取り上げている。 彼ら/彼女らの話は、より良い生活を求めて国境を越える何百万の若者と通じるものがある。