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ナイジェリアにおけるフィスチュラ(産科瘻孔)撲滅2週間キャンペーン―「Fistula Fortnight」―が今月21日から2週間の予定で始まり、初日は46人の女性が治療を受けた。英国人と米国人からなる4人のボランティア医師チームは、ナイジェリアのフィスチュラ専門医と研修医計24名と協力して、ナイジェリア北部の州でフィスチュラに苦しむ数百人の女性患者の治療に当たる。キャンペーン期間中は、医師団が北部にある4箇所の病院に分かれて治療とナイジェリア人医師らの訓練を行なうほか、看護師やソーシャル・ワーカーに術後のケアやカウンセリングの指導をし、フィスチュラ患者が十分に回復できるよう体制の強化を図る。このキャンペーンは、試験的に2週間行なわれるもので、国連人口基金とナイジェリア政府、ナイジェリア赤十字、Virgin Unite、Voluntary Service Overseas、医療従事者、そして現地のNGOなどとのパートナーシップを通じて生まれたものだ。キャンペーンでは、フィスチュラの治療に当たる医師、看護師、ソーシャル・ワーカーの訓練や患者が多いとされる北部の病院の設備拡充を予定しているほか、地方におけるフィスチュラの認知度の向上を目指し、フィスチュラは治療が可能な疾患であることを広く知らしめたいとしている。

ナイジェリアは世界で最もフィスチュラの発生率が高い国の一つとされていて、推計では国内の患者数は約80万人、また毎年2万人が新たに罹患している。フィスチュラは妊産婦死亡率の高い国でよく起こるとされていて、ナイジェリアでは妊娠・出産による合併症で死亡する生涯リスクが18分1で、ヨーロッパの 2400分の1と比べると非常に高い値になっている。フィスチュラは予防可能だが、閉塞分娩などが起こった際に必要な緊急産科ケア(帝王切開など)が行なわれないことで、膣内が傷つき瘻孔となって、慢性的な失禁症になってしまう。また、たいていの場合、胎児は死亡する。適切な治療が行なわれないと、患者は臭いなどによって差別を受けたり、社会的に阻害されてしまったりする。再建手術によって傷は完全に癒え、再び妊娠・出産も可能となるが、患者の多くは、治療にかかる費用が支払えない、治療が存在することすら知らないなどの理由で、治療を受けることができない。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長はキャンペーンの開始に際し、「われわれのキャンペーンによって、ナイジェリアでフィスチュラに苦しむ何百人という女性が癒され、希望を取り戻せるようになることを願っています。治療を待ち望んでいる女性は膨大な数に上ります。われわれのキャンペーンはこうした女性の声に応える第一歩なのです」と述べた。また、今回のキャンペーンの重要なパートナーであるバージン・グループの会長、リチャード・ブランソン氏は、「フィスチュラは予防も治療も可能なのに、いまだに数多くの女性が苦しんでいます。フィスチュラはおおっぴらに話ができるような病気ではありません。しかし、これを機会に対話を始めてみようではありませんか。そして、一致協力して、こうした女性の苦しみを終わらせようではありませんか」と話している。カツィナ州のババル・ルガ病院で行われたキャンペーンのオープニングでは、ナイジェリアのアクパン(Ms. Rita Akpan)女性大臣が、「政府、開発機関、宗教団体・指導者、NGOなどが一丸となって、フィスチュラ撲滅に向け一層の努力をするよう訴えかけていきたいと思います」と開会の挨拶をおこなった。

Fistula Fortnight」や国連人口基金のフィスチュラ撲滅グローバル・キャンペーンについてもっと知りたい方はwww.endfistula.org.へ

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