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インドでは過去10年、性選択的人工妊娠中絶や殺害による女児削除の結果、男児に比べて女児の人口数が著しく減少していることを示した新しい冊子が、大きな波紋を呼んでいる。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「これは憂慮すべき風潮を示しており、取り組まれなければならない問題である。世界中の女児に対する差別は、社会悪および人権侵害であり、阻止すべきものである。女児は男児と同等の愛情、機会や権利を受けられるのである。」と述べる。

「『Missing』:インドの男女比を解明」というこの冊子は、インドの登録・調査局室(the Office of India’ s Regular-General and Census Commissioner)、保健省およびUNFPAにより作成されたものであり、インド保健大臣のスシャマ・スァラージ氏(Sushama Swaraj) により調査されてきた。

オベイド事務局長は、この結果を公表したインド政府を称賛した。「問題の存在否定を乗り越え、積極的にジェンダー差別に取り組むことは大変な勇気を必要とするものである。女児及び女性の権利を増進させるためには、(このような)リーダーシップが不可欠である。」と述べた。

この冊子では、主要事項として以下のことが挙げられている。

•インド国内では1991年から2001年の間、0-6歳の男児1,000人に対する女児の割合が945人から927人に減少
•パンジャブ(Punjab)、ハリヤナ(Haryana)、ヒマチャル・プラデシュ(Himachal Predesh)およびグジャラート(Gujarat) といった州は状況が特に「深刻」で、男児1,000人に対して女児の割合は800人以下に「急激に減少」
•デリーの南西部(the South West District of Delhi) など「最も裕福」な地区では、男児と女児の割合の差が低い。
【インドでは、性選択は法で禁じられている。】

オベイド事務局長は、このような慣行を止めるための最も良い方法は、全ての人の価値・固有の尊厳が認識され、推進されることであると述べている。「女児および女性は、人間としての可能性が高められるようにされるべきである」と言う。

フランソワ・ファラー(Francois Farah)国連人口基金 インド事務所長は、冊子発表に際し、「この国の娘達は誰もが自らの権利を持つ人間であり、全ての権利・資格を受けるに値する。社会はそれを推進、保護、支持すべきである」と述べている。

ファラー氏は、「消えた(Missing)」女児は、男児を好む風潮のせいだと言う。男児は、家名や家業を継ぎ、宗教的儀式を行い、年老いた両親を養う役目として好まれる。その一方、女児は結婚して去っていくもの、つまり「パラヤ・ダーン(paraya dhan)」として扱われている。

ファラー氏はこの問題の対策として、政治家、市民社会組織、文化・宗教・メディア団体や機関が女児の価値を推進し、ジェンダー差別が存在する慣行を削減するための政策提言を行うことを呼びかけた。

女児排除(elimination of girls)の認知度を更に広め、これを阻止し、女児の権利向上に向けた活動が行われるよう、ここで強調されている各都市でこの冊子「Missing」は発表される予定である。