11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から12月10日の「世界人権デー」までの16日間は、「性差別による暴力廃絶活動の16日間」というキャンペーン期間です。このキャンペーンの一環として、11月27日、女性・少女の暴力撤廃に取り組む3つの在京国連機関、国連広報センター(UNIC)、国連人口基金(UNFPA)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による共催で、映画『デザートフラワー』の特別上映会とトークセッションを開催しました。
日 時: 2013年11月27日(水) 開場18:45 開始19:00
場 所: 国連大学本部ビル2階レセプション・ホール
主 催: 国連広報センター(UNIC)
共 催: 国連人口基金(UNFPA)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
プログラム:
-主催者あいさつ 国連広報センター 根本かおる所長
-映画『デザートフラワー』上映
-トーク・セッション
国連人口基金(UNFPA)東京事務所 佐崎淳子所長
国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所 小尾尚子副代表
モデレーター 国連広報センター 根本かおる所
映画『デザートフラワー』あらすじ:
13歳のソマリア人少女ワリスは政略結婚から逃げ、ロンドンで在英ソマリア大使館のメイドとして身を潜める。祖国の内戦によって大使館が閉鎖した後、著名な写真家にスカウトされ国際的なモデルとして成功を収めるが、やがてキャリアを手放し、自らが被害者である女性性器切除(Female Genital Mutilation=FGM)と戦う決心をする。
監督:シェリー・ホーマン ドイツ、オーストリア、フランス / 2009 / 127分
映画公式ウェブサイトhttp://www.espace-sarou.co.jp/desert/index_B.html
本イベントではまず初めに、UNIC根本かおる所長の挨拶で始まり、「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に向けた潘基文国連事務総長からのメッセージが代読され、そのなかでは「女性と少女への暴力を終わらせるためにわれわれは団結しなければならない」と強調されました。
その後、映画『デザートフラワー』が上映されました。
上映後には、UNICの根本所長がモデレーターとなり、UNFPA東京事務所長の佐崎とUNHCR駐日事務所の小尾尚子副代表がトークセッションを行いました。
佐崎は、映画の中で取り上げられていたFGMの世界的な規模や現状、児童婚の問題、またそれに向けた1980年代からの国連人口基金の取り組みとその成果について説明をし、世界的にこれらの問題が認知されるようになってきていることや、徐々にではあるがFGMを受ける女性の数が減ってきていることをお話しました。
次に、UNHCR小尾副代表からは、FGMを理由に毎年20,000人の女性から難民申請があるということについて説明があり、当事者の女性から話を聞くことや彼女たちが直面している問題を把握することが難しいという指摘がありました。さらに、こうした問題を克服するためには、参加型の対話が重要であることや、周囲の男性の意識改革も不可欠であると述べました。男性の意識改革については、佐崎からもニジェールで実施されている「夫の学校」事業について紹介がありました。
トークセッション後の質疑応答では、貧困を理由とした児童婚の問題に国連機関がどのような取り組みをしているのかや、映画の主人公ワリスのようにFGMを受けた女性に対してどのような精神面でのサポートをしているのか、またFGMや児童婚といったジェンダーに基づく暴力という問題に対して私達に今何ができるのかという質問がありました。
トークセッション終了後も、会場ではスピーカーに対し質問をするために残る参加者も多く、盛況のうちに本イベントは終了しました。