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「あらゆるレベルの指導者が、女性や薬物注射使用者、セックスワーカーといった脆弱なグループを対象とした包括的なHIV/エイズ感染予防の対応を促進しない限り、その蔓延を止めることはできません。」と国連人口基金(UNFPA)事務局長トラヤ・オベイドは述べた。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)および世界保健機関(WHO)より今日発表された新たなHIV/エイズ統計報告書に対し、オベイドは「ますます多くの女性に影響が及んでいるHIV/エイズの蔓延に対し、より効果的で緊急な予防対策が求められています。」と述べ、コンドームへのアクセス、HIV感染予防対策とセクシュアルおよびリプロダクティブ・ヘルスケアの統合、蔓延を加速させているジェンダーの不平等に対する意識の向上、が不可欠となると述べた。国連人口基金はUNAIDSを構成する10の機関の一つである。

「今日発表された内容は、包括的かつ総合的なHIV/エイズ予防対策へのアプローチの重要性を裏付けるものです。」「予防対策、治療、ケアへの普遍的なアクセスが最終目標です。女性、少女、そして脆弱なグループの人々が疎外され、権利を奪われ、差別される以上、HIV/エイズは蔓延し続けます。」とオベイドは述べた。

UNAIDS、WHO合同のエイズに関する最新報告(UNAIDS-WHO AIDS Epidemic Update)では、成功した点を強調しながらも、問題となっている事例も挙げている。現在、世界には4,000万人以上のHIV感染者が生活しているが、この数は1995年の2倍である、と報告されている。2005年、300万人もの人々がエイズに関わる病気で死亡し、HIVに感染する女性の数は増え続けている。

報告では、包括的かつ長期間の予防プログラムを緊急に拡大させる必要を強調すると同時に、新規感染の流れを止めるには禁欲や貞節だけでは不十分であるとも述べている。多くの国で、結婚や女性の側だけの貞節では必ずしもHIV感染の予防とはならない。報告では、セックスワーカーや薬物注射使用者を対象とした感染予防対策が、いかに「世界各地のHIV蔓延率を阻止するために重要な役割を果たしている」かが示されている。コンドームの使用もまた性感染症の感染率の減少に貢献している。

「この報告は、私たちが既に何年も前から知っていることを再確認しています。」「禁欲や貞節は大変重要で、HIV感染予防には必要不可欠な要素ではありますが、それは男性用、女性用のコンドーム両方へのアクセスといった、その他の予防対策と平行して推進されなければなりません。女性と、そして脆弱なグループの人々には自身を守る権利があります。私達は、彼らがその基本的な人権を享受できるよう任務を遂行しなければなりません。」とオベイドは述べた。