国連人口基金(UNFPA)のまとめによると、同基金に対する国連加盟国からの任意拠出金の2004年度総額は過去最高の3億2600万米ドル(暫定額)、拠出国も過去最多の166カ国になることが明らかになった。拠出額の上位六カ国は、オランダ、イギリス、日本、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの順となっている。また、国連人口基金に対する多年度拠出誓約を表明した国も2004年は40カ国を超え、過去最多となった。今回の任意拠出金額は、国連人口基金が1969年に設立されて以来最高で、これまでの最高額1996年度の3億米ドルを大きく上回る。拠出国も1999年度の69カ国から順調に増加しており、2003年度には149カ国、2004年度は過去最多の166カ国となった。
トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は談話を発表し、「国連人口基金がかつてない額の資金援助をこれほど多くの政府から受けているということは、各国政府が、性と生殖に関する健康/権利(リプロダクティブヘルス/ライツ)の保障や女性の地位向上そして男女平等の促進といった活動に、真剣に取り組んでいることの表れであります。1994年にカイロで開催された国際人口開発会議では、この三つの優先課題に積極的な資金援助を行なうことが合意されました。カイロ合意は、生命の保障と貧困削減を目指すミレニアム開発目標(Millennium Development Goals, MDGs)にも通じるものです」と述べた。カイロでの会議では、179カ国の政府と市民社会団体が20カ年の「行動計画」を採択したが、その「行動計画」では、家族計画を含むリプロダクティブヘルス/ライツを基本的人権としてすべての人々に保障することが謳われている。また、昨年はカイロ会議から10周年を記念してさまざまな会合が開催されたが、そこでも各国政府は政治・資金両面での一層の支援を表明した。オベイド事務局長は同じ談話の中で、昨年を振り返り、「このような支援増大は、国連加盟各国がカイロ目標達成と国連人口基金のサポートに対して全力を尽くしていることを物語っています」と述べている。
談話でオベイド事務局長は、「国連人口基金は、世界各国から寄せられた多くの支援に大変勇気づけられております」と述べる一方、こうした支援増大について冷静な判断も重要だとしている。「HIV/エイズの問題などUNFPAが携わる問題は、予想をはるかに超えてさらに深刻化しています。特に、地球で最も多い思春期の若者に対する予防やケアをより充実させるには、今後4億米ドル規模の財源を確保することが緊要だと思っています」とオベイド事務局長は話している。