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   国連人口基金(UNFPA)「世界人口白書2019」発表

    『残された課題 - すべての人々の権利と選択を求めて

 『UNFINISHED BUSINESS : the pursuit of rights and choices FOR ALL』  

 

本日「世界人口白書2019」は、2つの重要な節目を記念する特別版として発表されました。

 

1994年にカイロで開催された国際人口開発会議(ICPD - International Conference on Population and Development)開催から25年の節目の年であると同時に国連人口基金の設立から50年を迎えます。

この間、リプロダクティブ・ヘルスにおける進歩の足どりをたどって、世界はどのように変わってきたのか、そしてその変化に国連人口基金はどのように関わってきたのかを総括しています。

 

また、その変遷を生きてきた6人の女性を、6つのストーリーとして紹介しています。

国連人口基金が設立された1969年に10歳だった彼女たちは、国際人口開発会議が開催された時には35歳、そして今60歳を迎えた彼女たちの人生を振り返ります。結婚、妊娠、出産、仕事、そして家族・・・。エジプト、インド、ウガンダ、カンボジア、グアテマラ、アルバニアで暮らす彼女達の人生は、自分自身の人生を切り拓こうとしたきた道のりを映し出しています。

彼女たちは、選択する自由を手に入れることが出来たのでしょうか?

 

 

 

       すべての人々の性と生殖に関する権利を保障するために、

            国際社会はより一層の取り組みを。

  2019年4月10日グリニッジ標準時5時01分(日本時間14時01分)世界同時発表

 

2019年4月10日ニューヨーク国連本部

 

1960年代に始まったリプロダクティブ・ライツを求める世界的なムーブメントにより、何億人もの女性の人生は大きく変化し、自らの身体に関する決定権を持ち、そして自らの意志で未来を切り拓いてゆく自信を持てるようになった。しかし、性と生殖に関する健康(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス)を推進する国連機関としての国連人口基金(UNFPA)発足以来、50年間の進歩をもってしても、すべての人々が性と生殖に関する権利と選択を享受できるようになる日が来るまでの道のりはいまだに遠い。本日発表された「世界人口白書2019」はその現状を訴えている。

 

権利と選択を求める過程において、女性と少女は、あらゆる面で社会的・経済的な障壁に直面している。市民社会や活動家、そしてUNFPAをはじめとする関係機関は協力して、そうした障壁を打ち破るための活動を続けてきた。

 

リプロダクティブ・ライツを求めるムーブメントの成果により、意図しない妊娠が激減し、多くの妊産婦の命が救われた。また何百万人もの人々にとって、より健康的で生産的な暮らしへの活路が開けたと「世界人口白書2019」は述べている。

 

本年の白書では、2つの重要な節目に際し、リプロダクティブ・ヘルスにおける進歩の足跡をたどっている。まず、今年はUNFPAが国連初の世界人口の増加とリプロダクティブ・ヘルスに特化した機関として1969年に活動開始して以来50年目の記念の年である。また本年は179ヵ国の政府代表が集まり、自発的な家族計画や安全な妊娠、出産ケアなどを含む包括的なリプロダクティブ・ヘルスケアを全ての人々が享受できるように求めた1994年の国際人口開発会議(ICPD)開催から25年の節目の年でもある。

 

本白書によれば、1969年以来多くのことが改善されてきた。1人の女性が生涯に出産する子どもの数を示す出生率の世界平均は、当時の4.8人から1994年には2.9人まで減少し、今日は2.5人となった。最貧国においては1969年時点で6.8であった出生率は、1994年には5.6となり、2019年には3.9になった。また妊娠や出産に起因する妊産婦死亡率は1994年の出生10万対369から2015年時点で216にまで減少した。さらに、1969年にはわずか24%の女性にしか普及していなかった現代的な避妊方法は、1994年には半数以上の52%に普及し2019年にはは58%となっている。

 

しかしながら、こうしたリプロダクティブ・ライツが保障されていない女性はいまだに余りに多い。2億人以上の女性が今もなお、避妊を望みながらも現代的な避妊方法に関する情報やサービスにアクセスできずにいる。

 

「長年にわたり避妊具・薬の普及してきているにもかかわらず、いまだにアクセスできず、自身の妊娠・出産に関する決定権を持てない女性が何億人もいるのです」と、国連人口基金事務局長ナタリア・カネムは訴える。「そうしたアクセス無しでは、彼女たちは自らの身体に決定権を持つこともできません。妊娠するかしないか、するならばいつ妊娠するのかということすら選択できないのです。」

 

「選択の力がないこと、それは教育や収入そして安全な生活に至るまで、女性たちの人生のあらゆる部分に影響を与えます。さらには、彼女達が自分で未来を切り拓く力さえ奪ってしまうのです」とカネムは続ける。

 

さらに本白書では今回初めて、パートナーとの性交、避妊具・薬の利用、ヘルスケアという3つの分野における女性の決定権に関するデータを取り扱っている。これらのデータが入手可能であった51ヵ国において、既婚ないしパートナー関係にある女性のうち、全3分野において決定権を持つのはわずか57%にすぎない。

 

「25年前にカイロで誓った約束に改めてとりくみコミットし、すべての人々の性と生殖に関する健康と権利を確固たるものにするよう世界のリーダーたちに呼びかけます」とカネムは続ける。「国際社会は、未だ達成されていないICPDの課題解決に向けて歴史的な機会を迎えているのです。今年11月にケニアで開催されるICPD25周年ナイロビ・サミットでは、各国政府、活動家そしてステークホルダーが集結し、これまでの進捗を守り続けるため、誰1人取り残さない未来を目指してICPDアジェンダ達成に向けて取り組む機会となります。」

 

さらに本白書は、それぞれの立場から自身の「障壁」を打ち破り、今日のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツに大きく貢献した15人の“チャンピオン”を紹介している。

 

「私はこの15人に心からの敬意を表します」とカネムは述べている。「かつて女性が出産に関する決定をはじめ、あらゆる事柄に対して発言権の無かった時代に押し戻そうとする流れに逆らうために、私たち一人ひとりが果たすべき役割があるのです」と、カネムは付け加える。「全ての人々が権利と選択権を真に享受できるようになる日が来るまで、私たちはこの戦いを続ける必要があるのです。」

 

 

「世界人口白書2019」に掲載されているデータ

・妊娠や出産に起因する妊産婦死亡率:世界平均:1994年出生10万対369から、2015??年には216に減少。

・世界の現代的な避妊方法の普及率:1969年24%、1994年52%から2019年には58%に。

・世界の出生率あるいは女性1人当たりの生涯平均出産人数:1969年4.8人、1994年2.9人から2019年には2.5人に。

・性と生殖に関する健康に関するサービスを享受できていないのは、社会から取り残されているグループである。少数民族・若者・未婚者・   

 LGBTI(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・インターセックスの人々)・障がい者や農村部・都市の貧困層の人々など

 である。

・世界で8億人の女性が児童婚を経験している。

・人道危機状況の国々では、1日500人以上の女性や少女が妊娠や出産が原因で命を落としている。

 

 

 

UNFPAは、すべての妊娠が望まれ、全ての出産が安全に行われ、全ての若者の可能性が満たされるために活動する国連機関です。UNFPAは、155の国と地域で活動を行い、支援した女性と若者の数は数百万に達しています。

 

お問い合わせはこちら

Omar Gharzeddine: Tel.: +1 212 297 5028; gharzeddine@unfpa.org

Richard Kollodge: Tel.: +1 212 297 4992; kollodge@unfpa.org

 

詳しくは世界人口白書2019特設ページをご覧ください。