ニューヨーク、国連
6月3日、2010年度国連人口賞授与式が行われ、アーシャ=ローズ・ミギロ国連副事務総長から、ウィリアム(ビル)・ゲイツおよびメリンダ・ゲイツ夫妻と、「人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)」に人口賞が贈られた。国連人口賞は、人口問題と福祉の領域で多大な貢献をした個人と団体に年1回贈与される。
両受賞者は、人口分野において長年にわたって活動してきた。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団は、性と生殖に関する健康、妊産婦の健康、教育などに関する支援を100カ国以上で行っている。AFPPDは、人口、開発、家族計画、HIV/エイズ、ジェンダー(男女の社会的性差)に基づく暴力、そして若者に関する法制度を整備するため、国会議員と協働している。
式典には、夫妻の代理としてビル・ゲイツ氏の実父に当たるウィリアム・ヘンリー・ゲイツ・シニア氏が出席した。家族計画を推進する団体の多くが資金調達の問題を抱えていることを指摘し、「私たちは持ちうる中で最も効果的な保健分野の道具への投資を、“いとも簡単に”止めてしまっています。女性の命を守ることに真剣に取り組むためには、家族計画を中心とした対策を取らなければなりません」と述べ、家族計画と人口問題は最優先課題であると強調した。
AFPPDの議長を務める福田康夫元日本国内閣総理大臣は、人口問題は「単なる統計上の問題なのではなく、むしろ1つ1つの数値データは、1人ひとりの命そのものを表わしているのです」と述べ、人口問題の重要性を訴えた。AFPPDの活動は、まさにこの言葉の通りのものだ。
潘基文国連事務総長の代理として出席したミギロ国連副事務総長は、ゲイツ夫妻は「貧しい人々と社会的に弱い立場に置かれる人々を支援する新たな方法に投資するという手法に、人々は驚くとともに大いに刺激を受けました。世界を変える貢献をすることにより、夫妻は模範となる謙虚さを行動で示してくださいました」と述べた。
また、AFPPDは「女性に対する暴力の撤廃や人口問題のあらゆる領域を網羅する法律の導入を見事に推進してきた実績は、本賞を授賞するにふさわしいものです」と加えた。
ゲイツ氏はこれらの言葉を裏付けるかのように、「ビルとメリンダは、AFPPDの優れた業績の継続を支援するため国連人口賞の賞金の全額を寄付することに決めました」と発表した。