UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とUNFPA(国連人口基金)は、トルクメニスタンでの「難民と難民受け入れコミュニティにおけるソーシャル・サービス、インフラの質とリプロダクティブ・ヘルスの向上」プロジェクトに対し、日本政府による「人間の安全保障基金」からの支援が決定されたことを歓迎する。
このプロジェクトでは、「人間の安全保障」の優先順位に基づき、受入れ地域のインフラやサービスの充実を通して難民のエンパワーメント(能力強化)や支援を行うことで、難民やその周囲の人々の技術向上を促す。さらに、難民が受け入れ地域の負担ではなく資産として認識されることは、融合の成功につながる重要な要因となる。
トルクメニスタンは、タジキスタンやアフガニスタンから1万1000人以上の難民を受け入れている。難民の大部分はタジキスタンの内戦から逃れてきた人々である。アフガン難民は、ソビエトのアフガニスタン侵攻時にアフガニスタンからイランに逃れ、1994年にトルクメニスタン政府の申し出により第三国定住している。このふたつのグループが、トルクメニスタンでの永住を選択した難民の代表的なものであるが、タジキスタンやアフガニスタンへ自主的に帰還した人やさらに他国へ定住をした(あるいは定住予定の)人も多い。このような観点から、難民の地元社会への統合を達成するためには、市民権取得という法的解決と社会的・経済的状況の改善が必要である。
UNHCRとUNFPAは、多くのNGO、民間団体、地元当局などと共に、専門知識や資源の共有、緊密な連携をとることで援助対象者のニーズに対応していく。UNHCRは、調整機関として事業の調整等を担当し、UNFPAはプロジェクトの主な目標のうちのひとつ、難民受け入れ地域での、リプロダクティブ・ヘルスの質の向上を主に担当する。トルクメニスタンの行政機関や地域の団体と密接な連携のもとにプロジェクトを推進する予定で、連絡事務所や医療補助施設の設置、医療スタッフの育成などによって、地域のリプロダクティブ・ヘルス・サービスの確立を目指す。また10代の女性のための施設の設置や、若者・女性リーダー、歌手や音楽家を通してリプロダクティブ・ヘルスの普及啓発も行う予定である。
このプロジェクトは、総額120万2873米ドル、約3年間実施される予定。
「人間の安全保障基金」は、日本政府の主導により1999年3月に国連事務局で設立され、国連機関の160以上のプロジェクトに対する支援を行っている。その総額は約2億7970万米ドルにのぼる。
お問合せ先:UNHCR駐日事務所 Tel: 03-3499-2011 Fax: 03-3499-2272
UNFPA東京事務所 Tel: 03-5467-4684 Fax: 03-5467-8556