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「援助国は、貧困削減やミレニアム開発目標を実現するために拠出している人口およびリプロダクティブ・ヘルス関連のプログラムに対する援助資金への貢献を自国の功績とするべきです。」と本日トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は人口開発委員会の冒頭で述べた。

「あらゆる地域の政府が、人口やリプロダクティブ・ヘルスに関する問題はミレニアム宣言の中でも中心的課題であると認めています。また、人々が尊厳や平和のもとに恐怖や貧困に見舞われることのない世界創造のためにおいても同様であると認めています。」また、「カイロ会議での協議事項は、貧困削減とミレニアム開発目標の達成において大いなる貢献であるという合意が、広範囲にわたり得られています。」とオベイド氏は述べた。

人口とリプロダクティブ・ヘルスへの資金提供は上昇傾向にあるが、オベイド氏はその資金提供の取り組みが一層緊急を要する課題であるとして推奨している。なぜなら、資金提供の目的は、性に関する事項や、家族計画を含むリプロダクティブ・ヘルスへのアクセスを拡大させるためのものであり、また、それは現在、供給されている物資とその目的に見合った供給手段に対する資金の格差をうめていくためのものでもある。

このような行動過程は、約250名の開発専門家によって作成されたミレニアムプロジェクトレポートのQuick Wins[1]で述べられており、何千もの人々に生命に関わる利益をもたらし、また各国をミレニアム開発目標へ各国を向かわせることができる施策として提示されている。自発的な家族計画を含むリプロダクティブ・ヘルスへのアクセスをより確実なものとして保証することは、貧困削減や乳児と妊産婦の死亡率を安定させ、またHIV・エイズに立ち向かうために不可欠であると専門家は述べている。

この10年間で、質の高い避妊薬具を提供するための資金額は2000年の8億1千万ドルから18億ドルに上昇した。計算によると、100万ドル分の避妊用具は800もの妊産婦死亡数を阻止することが出来、また36万人の「望まない妊娠」を回避することが可能であるとされている。国連事務局長の報告では、毎年3千万人以上の女性が、妊娠時や出産時に本来ならば回避することのできる苦痛や病気にみまわれ、もしくは死に至ってしまう現状があると述べている。

オベイド氏は各国政府に、プロダクティブ・ヘルスの完全普及をHIV/エイズ対策の一環として取り入れるよう呼びかけた。

「比較的に費用を要さない、そして影響力のあるこのQuick Wins[1]は、多くの利益そして、多くの命を助ける可能性を持っています。」とオベイド氏は述べた。そして、「家族計画へのアクセスがあるだけでも妊産婦死亡者数を25%削減、乳幼児死亡率においては20%まで減少させることができます。また、出産時の専門技能者立ち会いをより確実なものにするだけでも、妊産婦死亡率を74%まで削減することができます。タイ、ウガンダの両国においては、禁欲、そして、誠実さ(パートナー以外に性的関係を持たないこと)にまして、何より3セントのコンドームが、HIV/エイズに立ち向かう強力な武器となる、ということを証明しています。」とオベイド氏は語っている。

オベイド 国連人口基金事務局長は国々に対して、ミレニアム開発目標5「妊産婦の健康の改善」のターゲットに、「2015年までにプロダクティブ・ヘルスを完全普及させる」という事項を付け加えよう、というミレニアム行動計画施策案に対する支持を呼びかけた。

オベイド氏は、「今年は、広範囲におよんで変化を引き起こし、より踏み込んだ行動ができるよう基礎的な土台を作り出さなければなりません。」「私たちは力強くその一歩を踏み出し、そして結果に辿り着かなければなりません。そして、私たちを導くのは人々のニーズと希望なのです。」と述べている。

[1] Quick Wins─「ミレニアム開発目標における、3年以内に効果を見込むことのできる施策」2005年1月、コロンビア大学ジェフリー・サックス教授をはじめとする約250人の専門家によって作成され、コフィー・アナン国連事務総長に提出されたMillennium Project Reportに記載。