世界人口白書2017

分断される世界―格差拡大時代のリプロダクティブ・ヘルス/ライツ

ページ番号: 140

出版日: 2017

著者: UNFPA

Publisher: UNFPA

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「歯止めが利かずに広がり続ける格差と、最貧困に苦しむ女性たちの権利を守れないことは、平和と世界の開発目標達成を阻んでいる」と国連人口基金(UNFPA)発表の世界人口白書は警告している。

  • 世界のたった半分の女性が有給の仕事に就いている。
  • 世界的に、女性は男性の賃金の77%程しか得ることができていない。
  • 世界の5人に3人の女性が、育児休暇を取得できず、その多くの女性が出産や育児における「ペナルティ」をこうむっている。

2017年10月17日にUNFPAが発表した「世界人口白書2017」は、不平等が速やかに是正され、貧困にあえぐ女性たちが自分自身の人生について自ら選択できるようにならない限りその国々では紛争に直面し、平和や開発目標を達成することが困難になると指摘している。

セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツを含む不平等の代償は、国際社会全体の目標にも影響を及ぼすだろうと、UNFPAの世界人口白書「分断される世界:格差拡大時代のリプロダクティブ・ヘルス/ライツ」は述べている。

家族計画を含むリプロダクティブ・ヘルスサービスが充分に供給されないため、最貧困の女性たちは経済的にさらに困窮し、SDGs(持続可能な開発目標)の第1目標「貧困をなくそう」の達成が阻まれる。

経済的な格差により、一部の特権的な人々だけが子どもを産むか産まないかの選択をする権利を享受できるというような、女性の健康に関するその他の不平等をさらに助長し、このことがさらに経済的格差をまねくことになっている。その結果、一部の人々のみが熟練技術を身に付け、賃金労働者として働き、経済力を得ることができる。

「今日の世界における不平等は、“持てるものと持たざるもの”だけの問題ではない」とUNFPA事務局長ナタリア・カネムは言う。「不平等は、“出来るものと出来ないもの”の問題になってきている。自分の家族計画に関する決断を行うことができなかったり、リプロダクティブ・ヘルスケアを十分に享受できないために不健康な状態にある貧しい女性たちが“出来ないもの”の大多数となっている。」

ほとんどの途上国では、最も貧しい女性が家族計画における選択肢が最も少なく、出産前の医療へのアクセスが最も少なく、ほとんどの場合、医者や助産師の立ち会い無しで出産をしている。

途上国では、家族計画へのアクセスが制限されているため、年間8900万件の望まない妊娠と4800万件の中絶を引き起こしている。これは女性の健康を害するだけでなく、彼女たちが賃金労働者となり、収入を得て経済的に独立するのを阻むことにつながる。

手ごろな価格で利用できる託児所など、関連サービスへのアクセスが無いことも、女性が家庭の外で働くことを妨げている。働いている女性にとっては、有給の育児休暇が無かったり、雇用主が妊婦を差別することにより、母親になることに「ペナルティ」を科している。そのため、多くの女性がキャリアか育児かという選択を迫られている。

「経済的な不平等を是正するには、リプロダクティブ・ヘルス/ライツや、女性の可能性が最大限に活かされることを妨げる社会的・制度的な障壁などの不平等を是正することから取り組むべきです」とカネムは言う。

このUNFPAの世界人口白書は、2030年までに持続可能な開発目標と共生社会を達成することを目指した国連の計画に沿って、最も取り残されているものたちにまず焦点をあてることを勧めている。この持続可能な開発目標は、「私たちが共同で障壁を取り払い、格差を是正する、よりよい未来を目指している。全ての格差を減らすことが目的でなくてはならない。女性のリプロダクティブ・ライツを保障することは・・・最も大きな貢献の1つとなり得る。」