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2022年4月19日、ニューヨーク ― ロシアによるウクライナへの侵攻から約2か月、この戦争は恐怖、苦痛、破壊、そして避難生活を引き起こし続けており、女性と少女はより負荷を強いられています。避難を余儀なくされている1,200万人の大半は、女性と子どもです。

 

「ウクライナでの戦争の影響を受けて、健康と安全に対する絶え間ない脅威に直面している女性と少女たちのニーズは、最優先されなければなりません」と、国連人口基金(UNFPA)事務局長のナタリア・カネムは述べました。「女性は紛争中だからといって、妊娠や出産を止められるわけではありませんが、ウクライナでは女性たちの命を救うヘルスサービスが文字通り攻撃されており、アクセスが困難になっています。保健施設や社会サービス施設が爆撃、砲撃され、レイプやその他の形態のジェンダーに基づく暴力についての報告が相次ぐ中、UNFPAは女性と少女のニーズに応えることに重点を置いています」

 

UNFPAは、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)を推進する国連機関として、ウクライナで高まる人道ニーズに対応するために、命を救うリプロダクティブ・ヘルス関連サービスや、身体的および性的な暴力被害者の保護と対応サービスを調整し、強化しています。

 

これまで13トン以上のリプロダクティブ・ヘルス関連物資が、ウクライナのドニプロ、ハルキウ、キーウ、ザポリージャの7つの病院に届けられました。さらに27トンのリプロダクティブ・ヘルスに不可欠な物資や医薬品、機器がウクライナに到着しており、150万人のニーズに応えるため、戦闘が続くチェルニヒウ、スムイ、ヘルソン、ミコライウとその他の4つの都市にある産婦人科医院に提供される予定です。加えて、同様の物資41トンが4月後半と5月にも届けられます。UNFPAはまた、女性の衛生を支援するために月経衛生用品を含む「ディグニティー(尊厳)キット」を配布しています。

 

女性が暴力の脅威にさらされ、レイプや人権侵害の報告が増加する中、UNFPAは30の避難シェルターや危機管理室、難民女性と暴力被害者のためのデイケアセンターを支援しています。また、心理社会的支援を行うモバイルチームが、今後2週間以内にウクライナ全域の12の地域に派遣されます。UNFPAが支援するこれらのチームは、心理士やソーシャルワーカーを含み、トラウマや暴力の経験がある女性たちに心理社会的支援を提供します。

 

「ここウクライナでは、緊急ニーズが急激に高まっています。私たちは女性と少女のために救命サービスを提供しようと、政府や他のパートナーと緊密に協力していますが、やるべきことは数多く残っています。ジェンダーに基づく暴力の被害者を含め、より多くの人々に支援を届ける必要があります。拡大し続ける人道危機に対応するため、私たちはさらなる支援を求めています」と、UNFPAウクライナ事務所代表のハイメイ・ナダルは話しました。

 

モルドバは国内に滞在しているウクライナ難民約10万人を受け入れていますが、UNFPAは妊娠中または出産した女性を含む難民女性の包括的なリプロダクティ・ヘルスへのアクセスを保障するため、モルドバの国民健康保険会社と契約を締結しました。保障内容には、母親と新生児の両方の命を救う帝王切開手術のような、極めて重要な母子保健サービスが含まれています。

 

UNFPAは最近、モルドバの首都キシナウにある病院と全国各地区にある41のユース・フレンドリー・ヘルス・センターに、緊急産科ケアなどに必要な物資を含む10トンのリプロダクティブ・ヘルス関連用品を届けました。また、ホストファミリーと共に避難生活を送っているウクライナ難民の女性が、救命医療サービスを継続的に利用できるようにするため、UNFPAが支援するサービスセンターでは「オレンジ・セーフスペース」(戦争によりトラウマを負った難民に家族計画と相談の機会を提供し患者紹介を行う)の取り組みとともに活動を全国へと拡大しています。性暴力をはじめとするジェンダーに基づく暴力被害者のための患者紹介システムは、モルドバの既存の制度とサービスを基に、医療、法律、社会サービス当局や関連NGOと法執行機関の協力の下につくられました。

 

「UNFPAはウクライナ難民を支援するために、モルドバ政府やパートナーと協力しています」と、UNFPAモルドバ事務所代表のニギーナ・アバサダは話しています。「わずかな荷物を持ち急いで避難せざるを得なかった女性たちの話や、将来や家族についての不安を聞くと、胸が痛みます。UNFPAは、難民の女性や少女とホストコミュニティのリプロダクティブ・ヘルス・ニーズを満たし、必要な医療とジェンダーに基づく暴力対策関連のサービスへの継続的なアクセスを確保するために、政府の公衆衛生システム強化を支援しています」

 

ウクライナおよび周辺地域の難民への人道支援のために国連が主導して発出した緊急アピールの一環として、UNFPAは、ウクライナおよび近隣諸国における女性や少女、高齢者、障がい者を含む脆弱な立場に置かれた人々のニーズに応えるため、6,560万ドルの資金拠出を求めています。UNFPAはこれまで女性と少女の健康と保護を支援してきた全ての政府に謝意を表します。

 

【問い合わせ先】

  • UNFPA本部(ニューヨーク)

Zina Alam

メール:zialam@unfpa.org

電話:+1 929 378 9431

  • UNFPA東欧・中央アジア地域事務所(イスタンブール)

Jens-Hagen Eschenbaecher

メール:eschenbaecher@unfpa.org,

電話:+90 549 748 36 55

 

こちらからUNFPAのウクライナ危機への対応に関する写真と動画をダウンロードすることができます。支援概要はこちら

 

本文は当該記事を、駐日事務所にて翻訳・編集したものです。

 

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ウクライナで活動を行っているUNFPAは現在、ロシアによる軍事侵攻と被害の拡大により、甚大な被害を受けた女性と少女たちの命と尊厳を守るための人道支援活動を拡大しています。そのための「ウクライナ緊急支援寄付」を立ち上げ、皆さまのあたたかいご支援、ご協力を呼びかけています。

 

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