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ウクライナ危機を受け、国連人口基金(UNFPA)はウクライナと近隣諸国での支援活動を拡大するための必要資金3,200万米ドルの緊急アピールを発出しました。20223月~8月にかけての人道支援活動に必要な予算総額で、内訳はウクライナ向け1,800万米ドル、モルドバ向け1,200万米ドル、その他近隣諸国向け200万米ドル。緊張が続くウクライナ情勢から女性と少女の命と尊厳を守るため、医薬品の調達や救命サービスにあたるスタッフを配備するための資金などが急務となっています。

 

ウクライナ緊急支援の概況

 

UNFPAは、1997年よりウクライナで、1995年よりモルドバでそれぞれ支援を実施してきており、この度の紛争下においても、女性と少女の緊急ニーズに応え、権利、健康、尊厳を守るための活動を継続しています。また、UNFPAは難民受入国であるEU加盟国を対象に、技術支援やプログラムに関するアドバイス等を行っています。

 

ウクライナでの戦闘が激化する中、安全を求めて多くの人々が国外へと避難しています。現在、200万人以上の人々が近隣諸国へと避難しており、今年7月までにその数は400万人以上に増加する可能性があります。難民の多くは弱い立場に置かれた女性や子どもたちで、心とからだの健康を守るための緊急救命支援が必要です。

 

ロシアによる軍事侵攻が開始した時点で、ウクライナでは約265,000人の女性が妊娠しており、うち約8万人が今後3ヶ月間で出産を迎えると推定されています。しかし、彼女たちの多くが必要な母子保健へのアクセスを失っており、地下室や防空壕(爆撃から一時的に避難するためのシェルター)の中で子どもを出産するという胸の痛む報告が寄せられています。また、レイプや身体的暴力も報告されており、女性と少女を悲痛な苦しみから守り、命を守るための医療と保護に関するサービスを最優先しなければなりません。

 

UNFPAの取り組み

 

UNFPAはパートナー団体と連携し、妊産婦と新生児の健康を含むリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、最も弱いに立場に置かれた女性と少女たちをジェンダーに基づく暴力(GBV)から保護する活動に焦点を当てています。国連システムにおける性と生殖に関する健康のリード機関、そしてジェンダーに基づく暴力サブ・クラスターの共同リード機関として、UNFPAは重要な役割を担っています。

 

今般のウクライナ危機により生じる緊急ニーズに対応するため、UNFPAは同国及びその近隣諸国での健康と保護に関するプログラムを再編成しています。人道アクセスの拡大に伴い、UNFPAは今後数日から数週間にかけて、健康と保護に関するサービスを提供できるパートナー団体や施設を増強していきます。

 

また、軍事侵攻以前より運営されていたジェンダーに基づく暴力の対応・予防サービスを提供する避難所、センター、危機管理室など、既存のネットワークを活用して、避難女性の緊急ニーズに対応しています。UNFPAは、避難中あるいは医療サービスへのアクセスを失っている妊産婦や暴力被害者を対象に、心理社会的サポートや専門家による対応を含め、重要なヘルスサービスを拡大しています。

 

ウクライナ及びモルドバで実施中・実施予定の人道支援活動

  • 支援所で必要な保健・医療物資の提供(緊急リプロダクティブ・ヘルス・キット、母子保健関連の医薬品、医療施設やその他州関連施設からの要請に基づく援助物資など)
  • 避難女性への衛生管理キット月経衛生用品を含む及び妊産婦・授乳中の女性のための衛生用品の提供
  • 母子保健、リプロダクティブ・ヘルス、心理社会的サポートを専門とする医療スタッフからなるモバイルヘルスチームの編成
  • 助産師、医師、薬剤師、カウンセラー、アウトリーチのためのスタッフ、ユース・コーディネーター、警備員、救急車の運転手など、上記モバイルヘルスチームの編成に向けた人員の確保
  • 最前線で支援を行う医療従事者を対象とした、基本的なリプロダクティブ・ヘルスに関する研修
  • 戦闘の影響を受けた女性を守り、緊急ニーズに対応するため、ウクライナ各地の地下室やシェルターで行われている緊急支援サービスの拡大
  • ウクライナで女性の安全と保護をサポートするための24時間利用可能な無料相談電話の維持・拡大
  • 避難中及びホストコミュニティの庇護下にある女性と少女たちを対象とした保護とリプロダクティブ・ヘルスに関する情報の提供
  • 避難中の女性たちの緊急ニーズ(食料、シェルター、生活必需品)に応えるための資金援助(デジタルあるいは現金)

UNFPAウクライナ緊急アピール(PDF版)はこちら 

 

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関連情報

NHKウクライナ 避難先地下で女性出産余儀なく UNFPA危機感示す

【朝日新聞】ウクライナ、人口の4分の1が避難 4千人超が地下鉄駅などで出産

 

ウクライナ緊急支援寄付にご協力ください

ウクライナで活動を行っているUNFPAは現在、ロシアによる軍事侵攻と被害の拡大により、甚大な被害を受けた女性と少女たちの命と尊厳を守るための人道支援活動を拡大しています。そのための「ウクライナ緊急支援寄付」を立ち上げ、皆さまのあたたかいご支援、ご協力を呼びかけています。

 

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