現在地

私はお見合い結婚をしました。結婚するまで、自分の夫となる人が本当はどんな男性なのか、全く知りませんでした。私たちには二人の子どもがいますが、5年間の結婚生活の後、離婚しました。

 

離婚して別の国に移り住んだ元夫は、その後、私の写真を(ソーシャルメディアに)投稿して、子どもたちを誘拐するなど、私を脅迫するメッセージを送ってくるようになりました。元夫は「俺を恐れるがいい」と言ってきました。中東の文化では、女性は顔と手以外は全て布で覆い、人前では露出を控えた服装をしなければなりません。しかし、家の中では全身を覆うことはせず、自由な服を着ています。元夫が私を脅迫するために使った写真は、家にいる私の姿を撮影したものでした。私の知らぬ間に写真を撮り、後でさらして辱めることを企んでいたのです。私はFacebookWhatsApp上で元夫をブロックしたのですが、彼は新しいアカウントを作って私につきまとい続けています。

 

元夫はFacebook上で、私が汚れた女性で、悪い妻であると、誹謗中傷と罵倒に満ちた投稿を繰り返しています。それだけでなく、元夫は私の人生に関するプライベートなことまでも投稿しました。「もし女性に非がなければ、この男性はこんなことをするはずがない。この女性に何か問題があるのだろう」と言う人もいれば、「男性として恥ずべき行為だ。かつて妻だった女性に、どうしてこんなひどいことができるのか」と言う人もいました。

 

元夫に何かさらされていないかを確認するために、私は以前より頻繁にインターネットをチェックするようになりました。いつも警戒心が解けず、ひとり怯えています。近所の人たちが、ソーシャルメディア上で私の情報を見つけてしまうのではないかと、気になって仕方がありません。また、近所の人に会ったら何か聞かれるのではないかと恐れ、外出もしないようにしています。

 

この状態が1年以上続いています。毎日とても辛いです。私は自分自身を恥じるようにさえなってしまいました。誰にも会いたくない。誰の顔を見ることもできない。精神的に、私は追い込まれていきました。鬱状態だったのです。ただ泣きたくなります。メッセージが届いても怖くて開けず、電話が鳴っても怖くてでることができません。

 

私の最大の理解者は父です。父は私に、元夫からのメッセージを保存し、スクリーンショットを撮るように言いました。そして、この状況に負けてはいけない、元夫の行為は罪に問われるはずだ、と言ってくれました。

 

私は、国連人口基金(UNFPA)が支援するユースセンターに電話をしました。センターで出会った医療メディエーター(医療対話仲介者)は私の話を聞いてくれて、心理士の元に連れていってくれました。さらに心理士のアドバイスで、法律事務所にも相談をしました。しかし、(元夫には)何も起こりませんでした。警察と弁護士の話では、元夫が外国に住んでいるため、法的な措置を取ることができないとのことでした。

 

こうしたオンライン上の暴力を女性に振るう男性は、重い罰を受けるべきです。女性の尊厳、誇り、名誉は重視されるべきことであり、私たち女性は、それなしには生きていくことができません。誰であれ、このようなかたちで、(女性の人生を)台無しにすることは許されません。法律はもっと女性を守るべきです。男性と女性が平等だと言うならば、女性は今より多くの権利を与えられるべきです。

 

*プライバシー保護のため、名前と個人情報を変更しています。また、画像はイメージです。ハヤットさんはトルコに住むシリア難民です。多くの場合、難民たちが司法にアクセスするためには、新しい法制度を学ぶという大きな壁を乗り越えなければなりません。国境を越えた嫌がらせには司法の手が届きにくいという現状があります。

 

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国連は、毎年1125日「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から1210日「人権デー」までを「ジェンダーに基づく暴力(GBV)に反対する16日間」として、世界中でキャンペーンを展開しています。UNFPAのテーマは「#STOPデジタル暴力」。ジェンダーに基づく暴力とインターネットに焦点を当て、デジタル暴力を経験した女性や少女の体験談を紹介しています。

 

本文は当該記事を、駐日事務所にて独自に翻訳及び編集したものです。