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23歳のとき、私のFacebookアカウントがハッキングされました。ハッカーは、私の名前を使用してポルノサイトでアカウントを作り、Facebook上にあった私の写真を裸に加工し、電話番号を知らない人に勝手に教えました。

 

私は身分証明書のコピーを添えて、そのポルノサイトへメールを送りました。すると、アカウントはすぐに削除されました。しかし、しばらくして、また別のアカウントが作られていることに気づきました。私の名前ではなかったものの、私の写真が使われていました。私と同じ被害に遭ったと思われる他の女の子の写真もありました。

 

安い女として扱われている、そう考えると、夜も眠れず、勉強に集中することもできませんでした。私は何もかも信じられなくなり、ついには関係のない周りの人まで疑うようになりました。精神的に疲れ切っていたのです。

 

この経験について誰かに話しても何も変わりませんでした。「なんてひどい!」と誰もが私の身を案じてくれましたが、それだけでした。私のことを真剣に助けようと協力してくれる人はいませんでした。

 

私は加害者の身元を割り出すために警察に相談をしました。しかし、法的な手続きには時間がかかり、また多額の費用がかかることを知り、訴えを断念せざるを得ませんでした。この経験を通じて、私は被害者に優しい簡便な法的手続きの必要性を痛感しました。

 

SNSに自分の写真を投稿したことや、チャットの内容を削除しなかったことを責める人たちもいましたが、私はそうした心ない言葉には取り合いませんでした。家父長制のもとでは、女性は非難されるのが常で、女性蔑視的な言動を変えるのは簡単ではありません。啓発が必要ですが、人々の意識を変えるには何年もの時間がかかります。

 

誰に何を言われようと、無視していればいつかは気持ちも和らぐだろうと、自分を納得させるよう努めました。そのおかげで、私は精神的に強くなれました。また、SNSを使用する際には個人情報の発信を控え、投稿は非公開にし、パスワードを頻繁に変更することでアカウントを保護するようになりました。知らない人からの友達申請も承認せず、MessengerやWhatsAppを通じたプライベートな内容の送信もやめました。その代わりに電話をかけるようにしています。

 

誰があんなことをしたのかは、結局明らかになってはいません。正義とは、サイバーセキュリティを真剣に捉え、加害者を追跡して対処することだと思います。そして、正義には、サイバー空間での暴力やハラスメント(嫌がらせ)の被害者のため、簡便な法的手続きと無償の支援が必要だと考えています。

 

ソーシャルメディアを利用する10代の若者が増えている中、サイバー空間での暴力は一層深刻な問題となっています。被害者を守り、励ますには、人々が被害者の言葉を信じ、親身になってあげることがとても大切です。

 

デジタル暴力は、後回しにしてはいけない問題です。それは、世界中の女性たちが現実社会で受けている暴力を反映しているからです。

 

ベルキス・ナスキさんは実名でデジタル暴力に反対する訴えを続け、こう話しています。「(デジタル暴力が増える)この状況を変えなければなりません。ハラスメントの被害者が怯えるのではなく、加害者が自らの言動を恥ずべきです。こうして実名を出して訴えることで、多くの人が私の話を自分にも起こりうることとして捉えてほしいと願っています」

 

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国連は、毎年11月25日「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から12月10日「人権デー」までを「ジェンダーに基づく暴力(GBV)に反対する16日間」として、世界中でキャンペーンを展開しています。UNFPAのテーマは「#STOPデジタル暴力」。ジェンダーに基づく暴力とインターネットに焦点を当て、デジタル暴力を経験した女性や少女の体験談を紹介しています。

 

本文は当該記事を、駐日事務所にて独自に翻訳及び編集したものです。