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2021年10月28日トリポリ:国連人口基金(UNFPA)が日本政府の支援によりリビアで実施しているプロジェクトについて、在リビア日本大使館の天寺祐樹臨時代理大使(兼リビア特別調整官)ら代表団が現地視察に訪れました。このプロジェクトは2021年4月1日、130万米ドルの支援を受けて開始したもので、ジェンダーに基づく暴力やリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関連するサービスの向上など、新型コロナウイルス感染拡大により悪化したリビア女性の健康課題に焦点を当てています。

 

天寺臨時代理大使ら代表団は、トリポリにある7つの医療施設で働く14人の医療従事者を対象にした「緊急対応サービスパッケージ」(MISP: Minimum Initial Service Package)の研修を行う会場を訪れました。「危機的状況下におけるリプロダクティブ・ヘルスのためのMISP」は、人道危機により影響を受けたリビアの人々のリプロダクティブ・ヘルスに関するニーズを満たすために不可欠で、命を守るための活動の一部です。代表団は、研修の専門性の高さを評価するとともに、地域コミュニティで生じる新たなヘルス関連ニーズに対応するには、医療従事者のさらなる能力強化トレーニングが必要だと話しました。

 

さらに代表団はトリポリのグルジ地区にある「女性と少女のためのセーフスペース」を訪問。このセーフスペースは7月上旬に作られたリビア最大の保護施設で、脆弱な立場に置かれている女性や少女を対象に、ケースマネジメント、心理社会的サポート、自己啓発セッション、ディグニティ(尊厳)キットの配布、生計向上のためのトレーニングなどを提供しています。同施設には毎週およそ400人が訪れますが、そのうちの90%は移民や難民を含む弱い立場にある人々です。

 

天寺臨時代理大使は、人道危機に対する日本の人間中心のアプローチを強調し、日本はリビアで暮らす人々、特に女性や少女の生活向上を重視しているとしたうえで、「日本の国民と政府は、内戦と情勢不安を経て永続的な平和と安定を目指すリビアの人々と共にいます。リビアの長期的な発展と安定に欠かせない人々の生活を復興することが、レンガやモルタルによる再建と同様に、大切であると信じています。日本とUNFPAは、コロナ禍のリビアで、女性と少女の健康を守るために必要なジェンダーに基づく暴力への対応や、リプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセス向上のため、一層尽力していきます」と話しました。

 

UNFPAリビア事務所の代表代行ハフェド・ベン・ミレッドは、視察に訪れた天寺臨時代理大使ら代表団と日本政府に感謝の意を伝え、「リビアは、紛争から平和と安定へ移行しつつあり、選挙の実施に向けて進んでいます。今こそ、女性や少女などの国内で最も弱い立場にある人々に焦点を当て、彼らを表舞台に引き入れる時です。同時に、女性と少女のキャパシティ・ビルディング(能力向上)を行い、ヘルスサービスの質を向上させることで、国の健全な未来の礎を築くことができます。リビアの人々の苦しみを和らげるために、UNFPAと日本がパートナーとして共に歩み続けていくことを期待しています」と述べました。

 

本文は当該記事を、駐日事務所にて独自に翻訳及び編集したものです。