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世界の医療制度をより良いものにするためには、助産師への投資が必要

 

バングラデシュの難民キャンプがモンスーンの大雨で浸水したとき、助産師のシャキラ・パーヴィンさんは膝まで水に浸かりながら、病院に搬送される前に双子を出産した高血圧の母親を助け、状態を安定させました。モルドバでは、助産師たちは率先して、ウクライナから逃れてきた妊産婦を慰め、命を救うサービスを提供しました。助産師たちはまた、世界最大規模のシリア難民キャンプで、1人の妊産婦も死亡させることなく、1万4,000人以上の安全な出産を支援しました。

助産師は、母親と新生児の健康やウェルビーイング、命を守りながら、この世に新しい生命を送り出す、私たちのヒロインです。助産師は、母親としての道を歩む女性たちに寄り添い、母親と新生児が健康で安全な生活を送れるよう支援しています。

また助産師は、新しい生命をこの世界に導くだけではなく、性と生殖に関する健康と権利を守り、自発的な避妊やその他の重要なサービスを提供し、出産を控えた女性を精神的にも支えているのです。

2022年5月5日の「国際助産師の日」に際して、私たちは、助産師の多大なる貢献によってもたらされた生命と健康に関する恩恵に感謝を表します。助産師無くしてユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成することはできず、国際社会共通の持続可能な開発目標(SDGs)で合意された妊産婦と新生児の死亡を減らすという目標を実現することもできないということを、より多くの人が認識する必要があります。

助産師は、プライマリー・ヘルスケアの中核となるサービスを提供する専門職として、近年益々認識され、評価されるようになってきています。しかし、ほぼすべての国において、助産師を支援し、尊敬される存在として働きがいのある労働条件を保証するため、保健システムにおいて一層の努力をする必要があります。助産師の人手不足が深刻化する中、多くの助産師が過重労働と低賃金に苦しんでいます。

助産には投資が必要ですが、現時点での投資額は不足しています。「世界助産白書2021」によると、質の高い助産ケアへの普遍的なアクセスに投資することで、妊産婦や新生児死亡、死産を防ぎ、年間430万人の命を救うことができるとされています。スウェーデンでは、助産ケアモデルに投資したことにより、妊産婦死亡率がほぼゼロになり、助産への投資の効果を実証しました。

助産にも規制は必要ですが、ライセンス制度を導入することで、一定の基準を満たすサービスを提供することができます。質の高い教育と専門的能力の継続的な開発により、必要不可欠なスキルの習得が可能になります。また助産師同士が緊密に連携し合えば、助産の可能性を最大限に引き出すために、働きがいのある労働条件や保健システム関連政策について訴える場を作ることができます。

国連人口基金(UNFPA)は、助産師が自己決定権を持ち、尊敬され、保健医療システムの中に完全に組み込まれ認められた職業となるよう尽力しています。私たちのグローバルな助産プログラムは、国際助産師連盟(ICM)との協力体制のもと、2008年に8か国で始まりました。今年で設立100年を迎えたICMは、現在120か国以上で助産プログラムを実施しています。UNFPAとICMの協力関係により、何十万人もの助産師が国際基準を満たすようにスキルを向上させています。また予防可能な妊産婦と新生児の死亡や障がいをなくすことを含む、包括的なリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)サービスの提供という助産師の仕事の価値や貢献が、世界的に認知されてきています。

 

本文は当該声明文を、駐日事務所にて翻訳・編集したものです。