中絶が合法であるかどうかに関わらず、中絶はあまりにも頻繁に起こっています。中絶へのアクセスを制限したとしても、人々の中絶へのニーズを妨げることにはならないばかりか、むしろ中絶を致命的なものにするだけであることをデータが示しています。
国連人口基金(UNFPA)が発表した「世界人口白書2022」が明らかにしたように、世界の全妊娠の約半数は意図しない妊娠であり、その60%以上が中絶に至る可能性があります。世界の全中絶のうち45%は安全でない中絶であり、妊産婦死亡の主な原因となっています。現在、安全でない中絶のほぼすべてが開発途上国で起こっており、中絶へのアクセスがより制限されるようになれば、世界中で安全でない中絶がさらに増加すると危惧しています。これまでの進歩を覆す決定は、世界中の女性と若者の権利と選択に大きな影響を与えることになります。
米国を含む179か国が署名した1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)の行動計画は、危険な中絶がいかに致命的であるかを認識し、中絶の法的地位に関係なく、命を救うための中絶後のケアを提供するようすべての国に要請しました。また、すべての人がリプロダクティブ・ヘルスと避妊に関する質の高い情報にアクセスできるようにすべきであると強調しました。
UNFPAは、国連の性と生殖に取り組む国連機関として、また国際人口開発会議の主催者として、すべてのカップルと個人が、子どもの数、出産の間隔や時期について自由かつ責任を持って決定するための情報と手段を得られる権利を擁護しています。妊産婦の健康に関して全ての国連加盟国が約束しているSDGs(持続可能な開発目標)の目標3「すべての人に健康と福祉を」は、危険な中絶が継続されると達成されない恐れがあります。
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