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8月19日は「世界人道デー」。今年のテーマは「みんなでひとつのヒューマニティ」です。
2003年のこの日、イラクのバグダッドの国連本部で起きた自爆テロにより、22名が死亡、100名以上が負傷するという痛ましい事件が起こりました。国連総会はこの日を「世界人道デー」と定め、世界各地で起きている紛争や災害に関わる人道問題を考え、危険な現場で人道支援に携わる人々に思いを寄せる日としています。
2015年、人道支援を必要とする人は1億人を超えました。紛争の被害を受けている人々の数は第2次世界大戦以来最大に達しています。人道的危機により脆弱な立場に置かれている人々と、身の危険を冒しながら彼らを支援する人々。「世界人道デー」に向けて、このような現状について考えていきましょう。

 

 

 

● 国連事務総長からのメッセージ 
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● 国連人口基金事務局長からのメッセージ 
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世界人道デー 2016(10)

Story 1:「Start at Home ~身近な場所から、始めよう」

一番身近な場所で、小さな変化を起こしてみよう。 ヨルダンのザ―タリ難民キャンプで暮らす16歳のサバと彼女の家族たち。 児童婚が多く行われているシリアでは、難民としてヨルダンに暮らす人々の間でも、 いまだに児童婚の慣習は根強く続けられています。 サバとサバの母親イズディハ―ルは、その慣習に立ち向かうべく、 身近な友人に働きかけることからスタートしました。 大きな変化は、まず小さな変化から生まれます。 その小さな変化は、あなたの身近な場所から起こすことができるのです。

国連人口基金の取り組み

活動実績

それぞれの実績の詳細はこちらをご覧ください。

Fact 1: 被災地では、女性や少女はさらに脆弱な立場に置かれますが、その中でも特に支援を必要とするのは、妊産婦です。2015年、UNFPAは、16カ国における543の産科病棟やテント、住宅の運営を支援しました。

Fact 2: UNFPAは、23カ国、751の移動診療所を支援しています。

Fact 3: 2015年に、34ヵ国の人道支援の現場において、性と生殖に関する健康ジェンダーに基づく暴力のためのサービスを受けることができたと推定される人数は、900万人です。

Fact 4:


ミャンマーのラカイン州で、UNFPAが支援するセーフスペースで友達とともに笑顔を見せるキンミーさん(左)
© UNFPA Myanmar/Yenny Gamming

UNFPAは33カ国で、女性、少女、若者のために430の「セーフスペース」の設立に携わりました。「セーフスペース」とは、そこに集まる人たちが身体的にも精神的にも安全で、安心できる場所のことです。そこでは、社会的ネットワークを再構築し、支援を受けることができ、必要なスキルを習得でき、状況によってジェンダーに基づく暴力に対するサービスを受けられること等を目的としています。このように、集まる女性、少女、若者のエンパワーメントのために役に立っています。

 

プロジェクト事例

それぞれの実績の詳細はこちらをご覧ください。

Case 1: ウクライナ
UNFPAは、ジェンダーに基づく暴力への支援の一環として、21の援助チームを紛争の被害が深刻な5地域に派遣しています。

Case 2 : ニジェール
UNFPAは、赤十字と協力して、妊娠・授乳中の女性と思春期の少女へ、性と生殖の健康に関わる用品の供給と支援を実施しました。

Case 3 : フィジー
UNFPAは、サイクロン時に1000個以上の尊厳回復キットを女性に対して配布し、さらに災害に備え、リプロダクティブ・ヘルス・キットを医療機関に提供しました。

Case 4 : シリア


UNFPAが支援するクネイトラの病院にて。2016年の第一四半期には、600人を超える赤ちゃんがここで産まれました。@UNFPA/a UNFPA partner organization

シリアのクネイトラ県が激しく空爆されていた時、まだ10代だったバトゥールさんは双子を出産しているさなかでした。彼女は当時を振り返り、「いつまた避難を余儀なくされるか分からない不安を抱えながら、激しい空爆の音の中で双子を産んだの。」と語ります。出産から9ヵ月後、バトゥールさんは再び妊娠しました。しかし、この時は助産師が彼女を見つけ、ケアのために病院へ紹介しました。「ケアを無料で受けられて、そのうえ退院の時には赤ちゃんのケアのための物資までもらったのよ。」と、彼女は話します。彼女がケアを受けられた一方で、構造上の損傷およびスタッフやリソースの損失により、施設において限られたサービスしか提供できない同地域では、多くの女性が救命救急診療を受けられていません。UNFPAは、質の高い性と生殖に関するヘルスサービスの提供を支援することにより、この紛争地域において増加している妊産婦死亡率を減らす活動を行っています。2016年の第一四半期には、UNFPAの支援を受けているクネイトラ地区の病院で600人以上の赤ちゃんが産まれ、ほぼ1300人もの女性と少女に対して出産前のサービスが提供されました。

 

 

日本政府からの支援

それぞれの実績の詳細はこちらをご覧ください。

Case 1 : ヨルダン
UNFPAは日本政府の資金協力を得て、ヨルダンのアズラック難民キャンプで生活している難民のための人命救助プロジェクトを実施しています。

Case 2 : イエメン
UNFPAは政治的紛争や自然災害により人道的被害を受けたイエメンを支援しています。

Case 3 : 南スーダン
UNFPAは日本政府からの資金協力を受け、人道危機の被害を受けた南スーダンの人々の間での妊産婦死亡率及び罹患率の削減に向けた取り組みを行っています。

Case 4 : ネパール

2015年4月にネパールを襲ったゴルカ地震以来、地域は壊滅状態となり、ネパール政府は非常事態宣言を発令しました。この地震被害に対応するべく、UNFPAは日本政府からの支援を得て、最も被害を受けた、女性や子どものニーズに対応するために活動してきました。衛生キットや尊厳回復キットを妊娠可能年齢の女性や少女に配布するとともに、女性や子どもたちに情報を提供したり、ジェンダーに基づく暴力に遭うリスクのある女性に対して健康と教育関連サービスを提供するため、「セーフスペース」やリプロダクティブ・ヘルスサービスエリアを設立しました。ネパールの復興支援のために、UNFPAの支援により、脆弱な立場にあるネパールの女性や子どもに対して性と生殖に関する健康のサービスが行き届くようにするためのリソースが強化されました。日本の人々からの援助を受けて、UNFPAはネパールの人々の苦しみを和らげるため、またネパールが健全で持続的な未来を再建できるよう支援をしています。「世界人道デー」は、日本の人々にとってこの地震がもたらした被害と、その影響を受けた人々を思い起こす良い機会となるでしょう。

 

 

あなたにできること

今週は、世界中の様々な地域におけるUNFPAの人道支援活動を紹介してきました。2016年、UNFPAは48カ国において、600万人以上の妊婦を含む計4000万人を支援することを目標としています。そのためには2億5800万ドルが必要とされていますが、いまだに資金が不足している状況です(国別の資金調達状況はこちら。)
皆さんからの寄付は、危機的状況の中でも性と生殖に関する健康の観点から、女性と若者のニーズを満たすために取り組んでいるUNFPAの活動の支えになります。ご協力いただける方は寄付のページ(英語)をご覧ください。