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ジェンダーに基づく暴力被害者を支援するための「ワン・ストップ・サービス・センター」を日本政府の支援により新たに2カ所開設
2022年6月21日ホーチミン市: 
ホーチミン市とダナン市では、ジェンダーに基づく暴力(GBV)や家庭内暴力(DV)の被害者のために、安全で信頼できる2つのセンターが立ち上げられ、フリーダイヤルのホットライン番号で24時間いつでもアクセスすることができる。
日本政府からの資金援助により、国連人口基金(UNFPA)ベトナム事務所は、ジェンダー・家族・女性・青少年研究応用科学センター(CSAGA)と契約し、ホーチミン市とダナン市にワン・ストップ・サービスセンター(OSSC)を設立し、ジェンダーに基づく暴力やDVの生存者に統合的で不可欠なサービスを提供する。近隣の省からも、これらのセンターからサービスを受けることができる。
OSSCは、ベトナムでは「アン・ズオン・ハウス(サンシャイン・ハウス)」と呼ばれ、暴力を予防し、被害者を保護、支援することを目的としている。2020年4月、ベトナム労働・傷病兵・社会省(MOLISA)が、KOICA(韓国国際協力団)との連携のもとUNFPAの技術・財政支援により、クアンニン省で初めて開設した。そして今年初め、MOLISAは日本政府と連携したUNFPAの支援を受け、タインホア省でもう一つのアン・ズオン・ハウスを開設した。今回新設された2つのOSSCは、CSAGAによる新しいモデルを試す取り組みであり、既存の2つのOSSCは、MOLISA傘下の社会保護センターを拠点としている。
アン・ズオン・ハウスは、ジェンダーに基づく暴力やDVを受けている、あるいはその危険がある女性や少女に、必要不可欠で包括的かつ総合的なサービスを提供している。この施設では、医療、心理的支援、カウンセリング、社会福祉サービス、緊急避難所、警察による保護、法律・司法サービス、患者紹介(リファラル)など、国際基準に合致した幅広いサービスを提供している。OSSCで提供されるすべてのサービスは、被害者中心の原則に基づいており、被害者に対して敬意を払い、尊厳を持って対応し、プライバシーは保障される。
クアンニン省とタインホア省のアン・ズオン・ハウスでは、これまでに性暴力やDVの被害者である女性や子ども450人以上を収容してきた。また、24時間365日無料で利用できるセンターのホットラインには、1センターあたり月に1,000件以上の電話がかかってきており、すでに当初のキャパシティを超えているため、より多くの暴力被害者を救済することを目的として、センターの増設が求められた。
UNFPAベトナム事務所代表の北原直美は、2つのアン・ズオン・ハウスの開所に際して、UNFPAとCSAGAは、女性の権利とジェンダー平等を促進し、脆弱なグループ、特にジェンダーに基づく暴力やDVの被害者を支援するという同じ目的を共有していると強調した。
北原は、「ジェンダーに基づく暴力や女性と少女に対する有害な慣習をなくすことは、UNFPAの戦略計画における3つの変革課題の1つです。ベトナムでは、UNFPAはベトナム政府とともに、女性と少女に対する暴力を終わらせる道を歩んできました。この目標に向けてできる限り多くの女性や少女を支援できるように、CSAGAを含むさまざまな組織とパートナーシップを結んでいます。私たちは、最も弱い立場にある人々を含むベトナムのすべての女性と少女が、暴力のない、尊厳のある生活を送る権利を持つことを保障します」と述べた。
2001年の設立以来、CSAGAは、「責任」、「真実性」、「協力」を中核的価値観としている。ジェンダーに基づく暴力という課題に取り組んだ実績もあり、あらゆるレベルの国内外の組織や政府機関との緊密に連携するCSAGAは、ジェンダーに基づく暴力やDVに苦しむ人々を支援するために、上記2都市で確実にとアン・ズオン・ハウスを運営することができる。
CSAGA会長のグエン・バン・アン氏は「私たちは、ホーチミン市とダナンにおけるアン・ズオン・ハウスの運営において、UNFPAと連携できることを大変光栄に思っています。CSAGAは、暴力被害者のためのホットラインやシェルターの運営を通じたジェンダーに基づく暴力の被害者支援の経験があります。UNFPAの支援により、私たちは暴力の被害者、特に女性や少女のニーズに応える統合的なサービスを提供する準備ができています。私たちは、女性の権利を保障し、どの女性も置き去りにしないために、より一層努力します」と強調した。
日本政府は、ベトナムで特にコロナ禍で広まっている女性や少女への暴力の予防と対応に関するUNFPAのたゆまぬ努力に対して謝意を表した。
在ベトナム日本国大使館の岡部公使は、「MOLISAとNGOの両方と協力するというUNFPAの決断は、ジェンダーに基づく暴力への対応を多様化し、統合的なサービスを提供するという意味で、非常に革新的なものです。日本政府は、タインホア省、ダナン、ホーチミン市の3つのアン・ズオン・ハウスの設立への資金提供を通じて、ベトナムの新型コロナウイルスの負の影響を軽減し、誰もが国の持続可能な開発プロセスに関わっていることを確実なものにするよう貢献できることを喜ばしく思います」と述べた。
 
補足事項:
UNFPAが支援する「ベトナムにおける女性に対する暴力に関する全国調査」(2019年)の結果、ベトナム人女性のほぼ3人に2人(62.9%)が、生涯において夫から身体的、性的、心理的、経済的な暴力のうち、少なくともいずれかの暴力や抑圧的な態度を経験していることが明らかになった。そして、夫やパートナーからの身体的・性的暴力を経験した女性の半数は、そのことを誰にも相談せず、暴力を経験した女性のほとんどが支援を求めていないことが分かった。この調査は、女性に対する暴力がベトナム社会に根深く潜んでいることを示している。
 
問い合わせ先:
CSAGA
コミュニケーション・オフィサー
ホアン・ファン・トゥ・ウエン(Ms.)
メール:uyenhoang@csaga.org.vn 電話:+84 348 706 508
UNFPAベトナム事務所
コミュニケーション・オフィサー
グエン・チ・ホアン・タン(Ms.)
メール:tnguyen@unfpa.org  電話:+84 913 093 363
 
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